内容説明
知的好奇心が人生を決める。
この人の場合、対象はギリシャ語だった。
ぼくも同じ道を歩いたから喜びがよくわかる。
──池澤夏樹
伝統ある雑誌「ニューヨーカー」で24年間にわたり校正係を勤めた“カンマの女王”こと、メアリ・ノリス。
彼女が生涯をかけて愛してきたギリシャ語、ギリシャ神話、ギリシャのすべてについて、あふれる愛とともに語ります。
オハイオ州の田舎に生れ、語学なんて苦行だとしか思っていない消防士の父のもとで育ったノリス。
ラテン語を学ばせてもらえなかったことから始まった彼女のギリシャ語との出会いは、
ある日偶然モンティ・パイソンがギリシャ神話をネタにした映画を見て、
ふとギリシャにゆきたいと思ったこと。
上司で大のギリシャびいきのエドに導かれ、ギリシャ語の世界に身も心も夢中になって──。
女神アテナに自分をなぞらえた学生時代のこと。初めてのギリシャ旅行のこと。
ギリシャ悲劇を通じて、母との関係を見つめ直せたこと。
コンプレックスだった自分の容姿の話題からも自由になれたこと。
憧れの作家に会いに行ったこと。
アルファベット順の歴史、ギリシャ文字の英語読みとかのウェブスターの関係、
ギリシャ由来の英語のあれこれなどなど、十分すぎる語学蘊蓄とともに描く、
全語学好き、ギリシャ好き、英語好きに送る、一気読み必至の名エッセイ!
目次
序章 祈り
第1章 アルファからオメガまで
第2章 AはアテナのA
第3章 生きていたって死んでいたって
第4章 愛しのデメテル
第5章 悲劇好き
第6章 アフロディテと泳ぐ
第7章 アクロポリス・ナウ
第8章 海!海!
謝辞/訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北風
12
邦題は最近の日本のはやりにのっかりすぎだろ。日本語も堕ちたもんだ。ギリシャと冠されてなかったら、読みきれなかったと思う。ギリシャを少しでも知れて楽しい。現代ギリシャ語を習いたいと思ったけど、なんの益もないしな。英語圏の人間でも難しいんだろうか? 今の日本、句読点を受け入れられないらしい。カンマの女王がそれを聞いたらなんていうだろう? カンマの語源はギリシャ語らしい。そして、カンマは混乱を防ぐために作られたらしい。そんなカンマを不愉快なものとして受け取るなんて、そういう精神こそが不健全だろうに。2024/03/08
pushuca
1
原題は”Greek to me"。訳者あとがきによるとこれは「ちんぷんかんぷんだ」という意味の慣用表現。2024/05/05