女子鉄道員と日本近代

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女子鉄道員と日本近代

  • 著者名:若林宣
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 青弓社(2023/12発売)
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  • ISBN:9784787221025

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内容説明

「太平洋戦争下に、男性の代替として鉄道は女性を大量に動員した」ことばかりが論じられてきた女子鉄道員は、実は1900年以前から働いていた。

明治初期の女性踏切番を皮切りに、出札係やバス・市電の車掌の勤務実態、男性職員との差別的な労働条件を明らかにし、厳しい労働実態にもかかわらず女性車掌を花形職業としてもてはやした当時の社会状況を活写する。
さらに、太平洋戦争に突入してからの国鉄の女性職員と乗務員をめぐる定説を新聞資料などを丹念に調査して引っくり返し、新たな一面を照らす。加えて、戦争末期には小・中学生まで鉄道員として動員していた事実も明らかにする。

男性中心の日本鉄道史の陰に追いやられ、物珍しい存在としてだけ扱われてきた女性鉄道員とそれにまつわる出来事を史資料を発掘して紹介し、通説に大きな風穴を開ける。

目次

はじめに

第1章 最初期の女性踏切番、平山つね
 1 女性従事員の事故死
 2 線路工の家族による踏切監視
 3 創業初期の踏切番
 4 守線手の地位
 5 コスト削減のしわ寄せ

第2章 踏切番のイメージを数字で確かめる
 1 犠牲的な職業
 2 貧しく社会的地位が低いイメージ
 3 どれだけの人がどのくらいの賃金で
 4 男女比の歴史的推移
 5 待遇とその格差
 6 年齢は幅広く
 7 詩人が涙した踏切番

第3章 女性出札掛を取り巻く問題
 1 「親切」を求めて女性職員を
 2 官鉄、事務員と出札掛に女性を採用する
 3 従順な客応対を求められた女性出札掛
 4 女性出札掛の就労条件
 5 「女子の通有性たる緻密と服従」とその問題
 6 盗難との闘い
 7 沼津駅長の女性排斥論

コラム プロイセン邦友鉄道の女性採用に関する規則

第4章 バスの車掌、鉄軌道の車掌
 1 おそらく最初期の、女性車掌への注目
 2 第一次世界大戦にともなう職域拡大
 3 女性車掌は岐阜から東京へ
 4 東京市街自動車に女性車掌現れる
 5 日本社会のなかの女性車掌
 6 女性車掌採用の広がり
 7 民営時代の東京市内電車
 8 東京市電での女性車掌採用の経緯
 9 少年車掌を経て再び女性車掌へ
 10 女性車掌は高速度電車にも

第5章 女性車掌と社会の緊張関係
 1 労働者による労働者に対する差別の存在
 2 非難を浴びる「働く女性」
 3 客からの無理難題
 4 流行語のなかの女性車掌
 5 男性労働者による女性排斥
 6 排斥の動きは東京市電でも
 7 車掌に対する会社の密偵行為
 8 身体検査
 9 植民地の女性車掌

コラム ソビエト連邦の女性鉄道員

第6章 アジア太平洋戦争期の国鉄と女性職員――新潟鉄道局を例に
 1 なぜ新潟鉄道局に着目するのか
 2 思想教化運動から始まった戦時体制
 3 一九四三年、女性が目立って増加しはじめる
 4 「親切」を要求される現場
 5 線路工手にも女性を充当
 6 深刻さを増す要員不足――一九四四年後半以降
 7 男性化を求められる女性職員
 8 国鉄の一類型としての新潟鉄道局

第7章 戦時下の女性乗務員の採用
 1 国鉄の女性車掌
 2 運転士・機関士

コラム 鉄道教習所の授業内容

第8章 敗戦から現代へ
 1 戦時下の過酷な就労状況
 2 大戦末期の労働環境
 3 男性記者が捉えた女性職員像
 4 ある高等女学校生の体験
 5 敗戦を機とする女性の減員
 6 吉岡弥生の主張の転変
 7 女性職員が減少した戦後の状況
 8 そして現代は

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

みつ

20
明治12年2月、当時の新聞の女性踏切番の事故死から記述は始まる。線路工の夫が踏切番もさせられ、家族までそれに従事させられられるという、明治悲惨小説の世界が現実にあった。その後、出札、車掌、運転士と徐々に職種は広まるが、「女性らしさ」の陥穽による採用、さもなくば戦時下の男性不足を補うためと、「社会進出」の一語ではこぼれ落ちる、時代の暗部との関わりが浮き彫りになる、記述は専ら終戦まで。戦後新憲法下の労働基準法が「女子」の保護が主目的にせよ深夜労働禁止を掲げたため、20世紀の終わりまで門戸が狭められたのは皮肉。2024/04/26

kenitirokikuti

10
図書館にて。予約が入ったため延長不可、今回はよく読み切れず返却した。明治半ばの新聞には踏切番の女性が事故死した記事があれども、国鉄史が女性職員の採用を始めたのはずっと後、といったなどを前半で扱う。著者は脱線的にちょいちょいウヨ嘲りを挟む作風だが、著者のオピニオンも陣営論理に忠実なところがあって、そこは読みがいがなく感じる。2024/03/07

ナツ

4
明治から近代までの働く女性の過酷さが物凄く伝わってくる。 鉄道、バス、市電だと肉体的にも精神的にも非常にキツそう 特に戦時中の男性職員の代用だと尚更だと思う…2024/03/04

takao

3
ふむ2024/05/27

aeg55

2
女子鉄道員の歴史を通して今現在の女性蔑視や帝国陸海軍、及び、鉄道会社など大組織の利益優先などさまざまな問題が浮き彫りになる奥深いた内容だった。相方の祖母が子供の頃、甲武鉄道踏切番の人のところで遊んだことがあったという話を聞いていたこともあり、身近な話でもあるのだなと思った。2025/10/16

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