文春文庫<br> 雨滴は続く

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文春文庫
雨滴は続く

  • 著者名:西村賢太【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 文藝春秋(2024/01発売)
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  • ISBN:9784167921606

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内容説明

芥川賞受賞“前夜”の知られざる姿を描いた遺作
連載中に著者が急逝、刊行時に話題を集めた遺作が、三回忌を前に早くも文庫で登場。

2004年の暮れ、北町貫多は、甚だ得意であった。同人雑誌に発表した小説「けがれなき酒のへど」が〈同人雑誌優秀作〉に選出され、純文学雑誌「文豪界」に転載されたのだ。次いで、「群青」誌の編集者から、貫多は小説を依頼される。純文学雑誌に小説を発表することは、私淑してきた不遇の私小説作家・藤澤清造の“歿後弟子”たる資格を得るために必要なことであった。しかし、年が明けても小説に手を付ける気にはなれなかった。恋人を得たいとの欲求が、それどころではない気持ちにさせるのだ。貫多は派遣型風俗で出会った川本那緒子の連絡先を首尾よく入手し、デートにこぎつける。
有頂天の貫多は子持ちの川本と所帯を持つ妄想をする。ところが貫多は、取材に来た若い新聞記者・葛山久子に一目ぼれをしてしまう。小説家志望の葛山に貫多は自作掲載誌を送るが、その返信はそっけないものだった。手の届く川本と脈のなさそうな葛山、両者への恋情を行きつ戻りつしながらも貫多は「群青」に短篇、匿名コラム、書評を発表していく。そして渾身の中篇「どうで死ぬ身の一踊り」が掲載されたが、その反響は全く感じられなかった。同じころ、葛山からは返信が途絶え、川本にはメールが通じなくなり、前途に俄かに暗雲が立ち込めるのだった。
完成直前で未完となった、著者、最後、最長にして最高の長篇1000枚。巻末にヒロイン”葛山久子”による特別原稿を収録。

※この電子書籍は2022年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アメヲトコ

10
2016~22年4月連載、5月単行本刊、24年1月文庫化。北町貫多がいよいよ文壇にデビューする頃を描いた作品。登場するヒロイン二人に対する貫多の振る舞いは相変わらず最低ですが、でもなぜか憎めないのも相変わらず。古書店主とのやり取りなどは寅さんとタコ社長との喧嘩のよう。未完の遺作ですが、著者が急逝したのが最終回執筆中だったということもあって、終わり方もそこまで唐突感はありませんが、巻末掲載の特別原稿を読むと、ああ西村さんはもういないのかと寂しさが募ります。2024/04/01

tomoka

10
遺作なんだなと思いながら、根が〜の連発にニンマリ🤭しながら、結末をご存知の葛山さんを羨ましく思いながら読了。2024/02/27

のじ

9
この人の小説にしてはかなりの厚さだけれども、まんべんなく西村賢太がつまっていて、おいおい・・・とかツッコミつつ読み進めてしまった。やってることは、なんだかなあ、と思いながら気になってどんどん読んでしまうのは、なんとなく貫多の思考プロセスに呆れ否定しつつも、共感する部分がおおいにあるからなんだろうと、この人の小説を読んでいると時々感じる。遺作で未完だが、どこまでいってどういう終わり方にするつもりだったのか、どのくらいの分量になったのか、気になります。あと、最後のネタバレは、要らなかったかもなあ・・・。2024/05/25

そうげん(sougen)

7
読了しました。未完に終わってしまったけど、封筒が届くところまで書かれてあったからいい場面で物語を終えられた風にも受け取れたのはよかった。不思議と不完全燃焼感は感じなかった。面白かったー。あとがきを書いてる人にもびっくりしましたよ。2024/01/20

まめ

6
未完だけど、これで終わりでもおかしくないような最後だった。でもこの先も読みたかった。ネット記事か何かで、遺品整理に立ち会った編集者の方が芥川賞の正賞は開けてもなかった、と書かれていたのを読んで、なんとなくその先が紡がれたような気がした。貫太はほんとに胸糞悪くなるような発言と行動を繰り返しているのに、語呂が良い言葉とリズミカル(?)な文章は読んでいて心地よかった。人間くささが溢れていて、とても好きでした。これからも読みます。2024/03/09

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