内容説明
なぜwarmがウォームで、wormがワームなのか。Tigersはタイガースなのか、タイガーズなのか。live↓livingのように、ingが付けば取ってしまうのに読みもしないeを語末に付けるのはなぜか。不思議だらけの英語の発音と綴りだが、仕組みを知れば規則性が見えてくる。本書では、母音と子音、開音節と閉音節、母音字の読み方、「マジックe」など、学校では習わない英語の発音と綴りの仕組みを基本から解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サアベドラ
43
2部構成で、第1部で音声学の基礎と英語の発音の特徴を日本語との違いからまとめ、第2部で綴り字の基本的なルールの説明と例外ルールの解説を行う。2023年刊。著者の専門はスペリング。長音と短音は音の長さではなく質の違いであるとか、開音節と閉音節で母音の長短が変わるとか、黙字の役割とか、英語の発音と綴りを考える上での重要ポイントをいくつか抑えているものの、全体的に駆け足かつかなり高度な内容であり、新書の読者を置き去りにしている感が強い。より網羅的な内容にして発音編と綴り編で2冊に分けてもよかったのではと思う。2024/02/07
bapaksejahtera
13
英語の音声と綴りの来歴及び現状を包括的かつ精緻に説く。瞠目する内容で、読了に時間を要しかつ疲れた。冒頭日本語を題材に音声学の基礎を説く。この中で英米人が簡易な日本語の発音に困難を来す(アノネが何故かアノネイになる等)理由を披露する。この章だけで一般書の一冊位書ける。本書の表題から、内容を単に歴史的表記の名残を説明するだけと予断した。確かにそれでも間違いではないが、この言語の表記が、その持つ音韻の変化史必然の結果である事と、その多様な法則性を本書で理解した。外来語の名残や綴の表語性等、若い時に知りたかった。2024/11/06
たか
7
前半は日本語と英語を比較しながら発音を中心に解説し、後半は綴りの話を深堀りする。新書ながら内容が本格的で、特に後半は圧倒されてしまった。不規則にみえる英語の発音とスペルの関係にもルールがあり、発音時の舌の動きや音節・リズム、歴史的な経緯をもとに考えると理由がわかる。子音を重ねたり、読まないe(マジックe)を付け加えることで、前にある母音の読み方が変わるルール(hop/ho.pe、hop.ping/ho.ping)が印象的。このような例示が多く分かりやすいものの、全部覚えておくのは量が多くて厳しいかも。2024/04/18
預かりマウス
6
ですます調の文体からして初学者向けかと思いきや、論旨を追いにくいためか内容が頭に入らず、読み終えるまでに何度も挫折しかけた。学習参考書にしては不親切、教養書にしては非体系的・無味乾燥で、どちらかに主軸を絞ればよかったのではないかと思う。これまで英文法書は何冊も読んできたものの音韻の分野は苦手意識があり、克服したいと思っていたのだが、やはり一読では無理か。なお本書の後半に出て来る中英語期の大母音推移のくだりはとても興味深かった。また本書の最後にまとめで簡潔におさらいがあり、そこを先に読んだほうがよいかも。2024/03/24
sipsee14
3
英語の発音とスペリングの乖離について新しい感覚を得た。めちゃくちゃに見えてもまったくランダムではなく法則として整理したり歴史的経緯に触れたりすると体系だって成り立っていることがわかって新鮮。そもそも表音文字と言っても語を表すための表記なのだから、表形態素的な機能を持つのも変ではない。機能の点でいえば表音・表語のタイプわけはグラデーションなのかも。 複雑だと文句を言ったところでそういうシステムなんだからしょうがない。むしろ、複雑な体系をルールとして意識しなくても運用できる人間の言語能力の奥深さに興味が増す。2024/04/12