内容説明
量子論における直感に反することや不可解なこと。それらを「奇妙」とはもはや言っていられない。
「奇妙」からの脱却の時はもう来ている。
【目次】
第1章 量子力学が何を意味しているかを言える者はいない(これが本書の主張である)
第2章 量子力学は、本当は量子の話ではない
第3章 量子物体は波動でも粒子でもない(が、そのようなこともある)
第4章 量子粒子は一度に二つの状態にはない(が、そのようなこともある)
第5章 何が「起こる」かは、それについて何を見いだすかによる
第6章 量子論の解釈の仕方にもいろいろある(そして、どれもどうも意味をなさない)
第7章 どのような問いも、答えは「イエス」だ(「ノー」でない限り)
第8章 すべてを一度に知ることはできない
第9章 量子物体の性質がその物体だけに収まっている必要はない
第10章 「不気味な遠隔作用」はない
第11章 日常世界は量子世界の人間スケールにおける現れである
第12章 経験するすべてはそれを引き起こしている何かの(部分的な)複製である
第13章 シュレーディンガーの猫には子がいる
第14章 量子力学はテクノロジーに活かせる
第15章 量子コンピューターが「多くの計算を一度に」実行するとは限らない
第16章 「量子」あなたはほかにいない
第17章 物事はさらにいっそう「量子的」になりえた(ならば、なぜそうではないのか?)
第18章 量子力学の基本法則は思ったよりシンプルかもしれない
第19章 底へはたどり着けるのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
11
おもしろい内容だったが、文章が難解で魅力半減。英文の科学雑誌を直訳したような文章で、おそらく原文の回りくどさを忠実に和訳してしまったのではないかと思わせる。異論反論の多い分野だから揚げ足を取られないように慎重になりすぎた結果なのかもしれない。量子力学が、量子の振る舞いを記述する理論ではなく、人間は何を知ることができるのかを記述する理論だというのは、なるほどそうかと思う。観測によって、ミクロがマクロに接触して系がコヒーレンスを失っていく、というのも言葉としてはわかるけれども、数式で表せるのだろうか。【図】2024/11/30
y
4
量子絡みの本はとにかく難しいと感じていたので、本書を読むことで少しは理解が進むかなと期待して手にしました。 が、どうして難しいのかは何となくわかりましたが、まだまだ修行が足りないと再確認。 ただ、研究者でもキチンと理解していないらしいので、意味もなく安心もしました。 “である“性の理論と“もしも“性の理論という表現はとてもわかりやすかったです。2024/05/07
女神の巡礼者
4
やはり量子力学はわからない。光や電子が粒子であるとともに波動である、と説かれてもまったくイメージできない。でも本書を読んで、お偉い研究者のみなさんも、そうかわらないんだと、安心しました。量子のふるまいについて、様々な実験で導かれる奇妙な現象を、数学的や確率論的に語ることができても、この世界(宇宙?時空?)について、人間はなにひとつわかっていないということですね、今のところ。しかし、一般相対性理論の語る重力や時空と、量子のもつれなどが、根源的なところで関係しているのではという部分は、今後注視したいです。2024/04/25
Go Extreme
4
量子力学の意味を言える者はいない 量子力学≠量子の話 量子物体≠波動・粒子 量子粒子≠一度に二つの状態 何が「起こる」←何を見いだすか 量子論の解釈の仕方 ×すべてを一度に知る 不気味な遠隔作用はない 日常世界=量子世界の人間スケールにおける現れ 経験するすべて≒何かの(部分的な)複製 シュレーディンガーの猫には子がいる 量子力学→テクノロジー 量子コンピューターが≠多くの計算を一度に実行 量子=あなた 物事はさらにいっそう量子的になりえた 量子力学の基本法則は思ったよりシンプル 底へはたどり着けるのか2024/01/28
Akiro OUED
3
古典物理現象は、測定精度が粗いときの量子物理現象だ。シュレーディンガーの猫の生死を識別できる精度を持つ観測装置があれば、生死は決められる。怪しいな。宇宙は、ヒトに観測されるようにファイン・チューニングされているとすれば、実在とは量子力学で表現される情報だ、といえるかもね。好著。2025/02/19