創元推理文庫<br> 飛蝗の農場

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創元推理文庫
飛蝗の農場

  • ISBN:9784488235109

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内容説明

ヨークシャーの荒れ野で農場を営むキャロルのところに、謎めいた男が転がりこんできた。嵐の夜、雨宿りの場所を請う男を警戒してことわる一幕を経て、不幸な経緯から、キャロルはショットガンで男に怪我を負わせる。看護の心得のある彼女は応急処置をほどこし、回復までの宿を提供することにしたが、意識を取りもどした男は、過去の記憶がないと言う。何もかもが見かけどおりでないかもしれない。そんな奇妙な不安のもとに始まる共同生活――背後で繰りひろげられる異様な逃避行! 幻惑的な冒頭から忘れがたい結末まで、圧倒的な筆力で紡がれる悪夢と戦慄の物語。驚嘆のデビュー長編。/解説=三橋曉

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

300
年間ランキングなど、特に海外部門にて、選考者が無駄に深読みして、過分な評価を得てしまう作品というのがしばしばある。その代表例がこの『飛蝗の農場』ではないかと思う。読者を無視してわざとわかりづらく書かれている文章を、幻想的や狂気という表現に置き換え、ぶん投げ、どころかなんだったら続編狙いでわざとあやふやにしただけのラストを、深い意図をもった暗喩かのように、刊行当時から絶賛ばかりが目について、この良さがわからない自分の方がセンスないのかと不安になったものだが、あらためて読んで、そんなことはないと安心した。2024/10/15

yukaring

65
結末が全く予測できないサイコサスペンス。田舎で農場を営むキャロルの元に記憶を失った謎の男が現れる。怪我をした彼を介抱しスティーブンという名で呼ぶことにしたキャロル。そんな2人の奇妙な暮らしと並行して描かれる自動車修理工のポール、便利屋のミシェル達へ起きる出来事そして彼らへ届く不気味な手紙。"汚水溝の渉猟者"と署名された手紙は彼らがどこへ逃げても追いかけてくる悪夢。差出人は誰なのか?そして目的は?繋がりが見えない未知のストーリーの行きつく先は予測不能。読むほどに募る違和感と不穏な空気に心がザワつく物語。2024/04/01

Shun

36
2003年”このミステリーがすごい”第1位の作品が新装版となって刊行。古さは感じられず複雑に構築されたプロットの妙でグイグイ読ませるミステリ小説です。片田舎の農場を営む女性のもとに正体を失ったボロボロの男が辿り着き、一晩の宿を与えられ男は助けられた。一夜が明け男はどうやら記憶を失った様子で、哀れに感じた女性は暫く匿うことを決め奇妙な同居生活が始まる。男の素性が大きな謎となって物語は進むが、突如別人の話が差し込まれたり時間の概念もまるで複雑になる。そしてまんまと仕掛けの網に絡み取られているのであった。2024/02/08

わたなべよしお

22
 傑作か?確かに濃密で、終盤は一気に盛り上がる。ただ、その終盤まで読者はただただ翻弄される。一体、何?誰、何があったの?それは読み手を誘い込むようでもあり、引き離すようでもある。う~ん、ちょっと評価が難しい。読後の印象も不思議な余韻を残す。2024/02/29

キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん

19
再読。最初読んだ時、どうにも理解できなくて今回読書会課題書になったのでまた挑戦。読めなかった理由がいくつかあって、まずタイトルと内容の乖離。登場人物たちの生活感のなさすぎ。主人公の女性の異常なまでの指導的な性格。このような事件はちょっとトッピ過ぎではないか。などなど。2024/04/16

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