内容説明
発展を続けるニューヨークに孤絶して建つ、古色蒼然たるグリーン屋敷(マンション)。そこに暮らす名門グリーン一族を惨劇が襲った。ある雪の夜、一族の長女が射殺され、三女が銃創を負った状態で発見されたのだ。物取りの犯行とも思われたが、事件はそれにとどまらなかった――。姿なき殺人者は、怒りと恨みが渦巻くグリーン一族を皆殺しにしようとしているのか? 不可解な謎が横溢するこの難事件に、さしもの探偵ファイロ・ヴァンスの推理も行き詰まり……。鬼気迫るストーリーと尋常ならざる真相で、『僧正殺人事件』と並び称される不朽の名作が、新訳で登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tosca
27
不朽の名作と言われるのも、これが100年前に書かれた物だと思うと肯ける。トリックや捜査の甘さなど気になる事はあるが、書かれた時代を考えると全体的には納得できる。でも当たり前だけど、やっぱり古い。自分の好みとしては、もう少し後の、エラリー・クイーンとかジョン・ディクスン・カーの方が面白く感じる。2024/03/07
LUNE MER
13
新訳になってかなり読みやすい文章になっている気がする。(そこまで読みにくいとは感じていなかった旧訳だが、横に並べて読み比べて見ると古色蒼然とした感じに見える。)ストーリー展開は新鮮味・意外性皆無の既視感満載の王道の展開。それは本作品がかなり源流に近いものだからこそ。新訳の刊行ペースは5,6年に一冊…せめてあと2冊(ケンネル殺人事件まで)は出して欲しい。個人的には9冊目のガーデン殺人事件あたりまでは駄作水域を逃れていると思っているので、そこまで出てくれることがあれば本望。2024/01/15
うちだ
7
とてもベーシックな館もの&一族ものです。ベタに感じれば感じるほど、後の作品に影響を与えている証拠になるわけで、そう考えると偉大な作品ですよね。かといって退屈だったわけでは決してなく、上質なミステリーをじっくり味わうことができました。僕は犯人が分からなかったです。かつて、高木彬光先生が小説内で盛大にこの作品のネタバレをしておられたのを読んだのですが、核心部分はすっかり忘れていて助かりました。ファイロ・ヴァンスが終盤に出した97項目にもおよぶ「要約」はすごかったですね。お忙しい方はここから読んでも良いです。2024/04/13
大森黃馨
7
フィアロ・ヴァンスの新訳シリーズの第四弾だが前作の刊行から約六年…次の巻は何時になるのかなのに旧訳の再刊行も望めず…所謂屋敷殺人ものグリーン家の個々の方々ば(母堂を除き)結構いい人達の感じで登場時に既に死んでいた方を含めもっと知りたかったように思うだが使用人の方々の証言等で示唆されていた通りに実際には中々のおぞましいもので具体的には(左程は)描かれずに薄ぼんやりとしたものに留まっていたのが華なのだろうなあ2024/01/17
りふりヴ
5
動機は明白、次々と犠牲者が増えるにつれ自動的に容疑者は絞られていくのだが絡まった点を解きほぐさなければ真相にはたどり着けない… 以前読んだシリーズの別の作品ではファイロ・ヴァンスがあまりにぺダンティックでうんざりしたけど、今回は気にならなかったな なかなか苦戦していたからかも2024/01/21