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内容説明
ハマスとイスラエルの衝突で世界は混乱、いまだ和平の糸口は見えない。パレスチナとイスラエルはなぜ憎しみあい、殺しあうのか? パレスチナ人が70年も難民として生きる不条理を、なぜ国際社会は解決できないのか? ガザ、イスラエルに駐在し、PLOアラファト議長の通訳も務めた外交官が目撃した、この世の地獄とは? オスロ合意、キャンプ・デービッド・サミットの裏側、アラブ人とユダヤ人の本音、歴代アメリカ大統領の計算、難民キャンプの実情など、日本人が知らない、ガザとガザをめぐる歴史のすべてがわかる本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
83
1998年から外務省職員(通訳等)として現地で働いていた著者がガザ問題を分析したもの。ご本人がいた頃はちょうどキャンプディヴィッド会談の頃で、アラファト、オスロ合意時のラビン、そして仲を取り持ったクリントンへの評価が高いが、結局それだけの役者がそろっていたとしても和平実現に至らなかった現実の難しさが語られる。一方現在は民間に移り分析をしていて、最近の中東情勢の見方は面白かった。しかし一方でハマスについての分析が殆ど見当たらず、外野からの観戦のような印象。全体的に「自分語り」が多すぎるのも気になった。2024/02/10
よっち
34
ガザ、イスラエルに駐在し、PLOアラファト議長の通訳も務めた外交官が目撃したこの世の地獄。日本人が知らないガザとガザをめぐる歴史がわかる一冊。そもそもなぜこのような状況が生まれたのか、イスラエル独立から中東戦争に至った経緯、アメリカ歴代大統領によるイスラエルとパレスチナの和解へのアプローチ、パレスチナ人のシンボルだったアラファト議長、アメリカはなぜ見捨てたのか、ガザ紛争に終わりはあるのか。諸悪の根源はやはりイギリスの三枚舌外交にあったとは感じるものの、妥協点を未だ見出だせない状況はなかなか難しいですね…。2024/02/05
Garfield
16
★★★★☆☆☆ Kindle + Audible 外務省のアラビア語専門家である元外交官が、イスラエルとパレスチナ難民の問題ついて著述。過去の国連決議やオスロ合意等の内容をしっかりと振り返り、過去の調停案等をそれらに照らして分析しており、分かりやすく、この問題の歴史と複雑さについて頭の中で整理が進んだ。アラファト氏との会談の通訳を数多く経験され、同氏にやや傾注している感はあるものの、在イスラエル日本大使館とガザ日本政府代表事務所の両方での勤務経験を生かして両者の視点で論じられていて、立体的理解に資した。2024/04/24
都人
3
外務省にてアラビア語の通訳として、現地で勤務し現在は退職した人の語るパレスティナ問題の解説書。現在のガザの状況を踏まえ解決策の提示が大変困難であることを示している。印象的だったのは、パレスティナ人の住む地域が混沌でスラム化しているのに、イスラエル人の住む地域が整然でヨーロッパの様だとの記述があった。イスラムの大義は国民の豊かさを求めることにはないのか。 2024/04/09
anniehappy
2
パレスチナ問題が単にパレスチナとイスラエル間だけの問題でないことがよく理解できた。すなわち今後数十年かけても片付かない厄介な問題であることも。 日本は平和であることが当たり前になっていて、それはもちろん幸せなことだ。しかし戦っている当事者の気持ちを理解できずに、戦争はすべきでないと絵空事を言ってしまう。世界の各地で起こっていることから日本も逃れられるわけではない、自分たちも関わりを持っていることをもっと自覚しなければいけない。2024/01/21