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内容説明
従来議論されていたマネーサプライの調節だけでは、わが国が現在陥っている今日的なデフレ現象は解明できない。名目賃金の変化など新しい視点から「なぜ日本だけが?」の答えを捉え直す、現代デフレ論議の決定版!
(本書は2013/01/18に日本経済新聞出版より刊行された書籍を電子化したものです)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
50
・デフレーションの処方箋(P211)→新しいモノやサービスを生み出す需要創出型の「プロダクト・イノベーション」。円高や国際競争の激化の中で1円でも安くコストダウンをはかる「プロセス・イノベーション」と、「プロダクト・イノベーション」は異なる。かつての半導体のように、「石ころ」を「宝石」に変えるようなパワーで付加価値の創出が必要。2013/04/15
Miyoshi Hirotaka
38
狂乱物価の時は中学生。商社マン時代の春闘はCPI+ベア。物価上昇の補填が要求骨子だった。駐在員の悲鳴は現地の通貨安とインフレ。私もロシアでハイパーインフレを二度経験した。実体験からインフレは悪というのが固定観念化してしまったが、実は、恐ろしいのはデフレ。いいものが安く買えるのは一時嬉しいが、コスト削減も度が過ぎれば害毒。賃金や雇用に影響する。社会は縮小均衡に向かい、リスクの高い決断へと背中を押し、不安定になる。これを回避するためには新しいモノやサービスを生み出す需要創出型のプロダクトノベーションが必要だ。2017/03/29
中年サラリーマン
15
つまり、デフレ退治は金融緩和だけでは駄目で名目賃金率上昇が必要ってのが言いたいこと。この本で思ったが経済学は科学じゃないな(悪い意味ではない)。再現実験できないもの。だから、理論は前提条件が多くなる。したがって現実と前提条件が異なると結果の精度は推して知るべし。てか、一致することなんて少ないよね。だから、「日本はこうなる」と断定しがちな経済学者は眉唾だよねということをこの本は再確認させてくれる。マジメで良い本です。2013/09/14
masabi
14
デフレーションは価格が継続的に下落する現象を指す。問題は不良債権と組合わさることで、デフレ下の負債の実質的増加により脅威となることだ。またデフレは景気停滞の原因ではなく結果である。対応として、スタンダードな経済学はマネーサプライを増加させることを主張するが、現実にはその効果はなかった。なぜなら、依拠する貨幣数量説が妥当しないからだ。むしろケインズ経済学のほうがマクロを正確に分析できる。日本だけがデフレに陥ったのは名目賃金の下落が原因である。2015/09/04
壱萬参仟縁
11
デフレ脱却の努力の歴史空しく、アベノミクスに至る歴史を回顧している。失われた20年の原因究明のために。TPPの中で物価や庶民の暮らしがどのような影響を受けるのかを知りたいが、そうした議論があまり聞かれない。所得と物価の相関が肝心。A.マーシャルは貨幣数量説を受け入れつつも実質GDP↑で物価↓とした(87頁)。後継のA.C.ピグーは、技術進歩による物価↓は阻止しなくてよいとも。稼ぎ手人口↓がデフレの真意かも(藻谷浩介201頁)。学術書として史的に日本のデフレ解明と克服を試み、意外にも解は従来の理論にあった。2013/04/08