内容説明
源氏はこんなに新しい! 『源氏物語』に通じ愛する面々が多方面から集結、その現代的な魅力を語りつくす。川村裕子、ニシダ、三宅香帆、俵万智×安田登、宮田愛萌、小川公代、近藤泰弘×山本貴光、角田光代、鴻巣友季子、円城塔×毬矢まりえ×森山恵、全卓樹
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
92
多彩な執筆者たちが様々な切り口で源氏物語の魅力と楽しみ方を伝えている本。古典だからといってかしこまらずにキャラ妄想を膨らませて読むのもありだし、種々の視点と声が複雑に推移しながら人物の内面を細やかに描写するモダンさを味わうのもあり。それほど源氏物語は懐が深いのだ。ハッとしたのは俵さんが言う現代語訳がゴールではないということ。好みの箇所をゆっくり読み、紫式部の言葉そのものの力を感じ取りたい。読書の新たな可能性として計量文体論も興味深かった。それを用いたツールで気軽に独自な観点を模索できたら面白いなと思った。2024/08/16
はっせー
64
源氏物語を読みたいけど読めていない人におすすめしたい本になっている!源氏物語というと難しいとか長いというイメージがあると思う。そんな源氏物語を色んな目線で語り源氏物語は思いの外難しくもないから安心していう雰囲気を醸し出してくれる作品になっている!この本に寄稿している人たちが豪華というのも嬉しいポイント!俵万智さん・角田光代さん・三宅香帆さんなどなど。いい!すごくいい!内容も面白く源氏物語へのハードルが下がった気がする。源氏物語の入門の前門前ともいえる作品!2024/05/29
アルピニア
51
源氏物語の楽しみ方を様々な面から「みんな」が語る一冊。特に5章「現代“小説”としての『源氏物語』」、6章「英語を経由して『源氏物語』を読む効能」、8章「データサイエンスが解き明かす『源氏物語』のことばと表現」は、私にとってこれまでにない新たな視点であり、とても興味深かった。正直にいうとウェイリー「源氏」については、日本語でも深く読めていないのに英訳なんてとても。と思っていたのだが、6章を読んで、ウェイリー「源氏」やさらにその日本語への戻し訳(訳者のお二人はらせん訳と言っている)にも俄然興味が湧いてきた。2024/01/28
コニコ@共楽
18
いろいろな視点から『源氏物語』の魅力を語ってくれる本らしい!ということで手に取ってみた。角田光代さん訳を読了した感慨もあって、”みんな”とこの古典の良さを共感したい思い。『源氏物語』を読んだ人には、PART3の「時代を超える、言語を越える」が俊逸。鴻巣さんの人称や草子地の分析はなるほどと思えるもの。鴻巣さん独特の『嵐が丘』との比較や、角田さんの草子地の創意を語っているところは、読み終えたからこそ共感できるところだった。また、円城さんのサイデンスティッカー訳とウェイリー訳との比較も面白かった。2024/11/15
みんく
13
秀逸なタイトル!ほんと、みーんなで『源氏』を読んでるかんじになる。いやさ、まだ自分は読んでないんだけれどー。赤鼻のプリンセス末摘花は、割とみんなに愛されてるのね。読者にも光源氏にも。和歌も下手なんだ 笑。その下手くそな歌を楽しんで作る紫式部。ふふふ、想像するとおもしろい。「不調和ゆえに美しさを増すものに愛情を抱く」たまたま今朝見た柄本明さんの『最後の講義』という番組。うまくできない、完璧になんてムリ。だから不安に思う、悩んで考える。考えたってわかんない。雪に翻弄された一週間、はやく春の山辺で休みたいですね2024/02/10