私が諸島である カリブ海思想入門

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私が諸島である カリブ海思想入門

  • 著者名:中村達【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 書肆侃侃房(2023/12発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784863856011

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内容説明

カリブ海思想について新たな見取り図をえがく初の本格的な入門書。

西洋列強による植民地支配の結果、カリブ海の島々は英語圏、フランス語圏、スペイン語圏、オランダ語圏と複数の言語圏に分かれてしまった。それらの国々をそれぞれ孤立したものとしてではなく、諸島として見るということ。カリブ海をひとつの世界として認識し、その独自の思想を体系化する画期的著作。これからのカリブ海思想研究のためのリーディングリストを付す。

「web侃づめ」の大好評連載が大幅増補され、ついに書籍化! この海の下で我々は手を取り合う━━。カリブ海思想研究の俊英による待望のデビュー作。

【著者】
中村達
1987年生まれ。専門は英語圏を中心としたカリブ海文学・思想。西インド諸島大学モナキャンパス英文学科の博士課程に日本人として初めて在籍し、2020年PhD with High Commendation(Literatures in English)を取得。現在、千葉工業大学助教。主な論文に、“The Interplay of Political and Existential Freedom in Earl Lovelaces The Dragon Cant Dance”など。

目次

序章冒険の季節
第1章ひとつの世界としてのカリブ海
第2章1492を越えて、人間であること 解呪の詩学
第3章カリブ海を定義する者へ 存在論的不純性
第4章神話とカリブ海 悲しくも希望に満ちた叙事詩
第5章出会いを押し進めるために 相互歓待
第6章カリブ海の社会モデル論 プランテーション、多元、クレオール
第7章環カリブ海的経験のクレオライゼーション この海の下で、我々は手を取り合う
第8章カリブ海によるクレオール的時政学 海が歴史である
第9章ミサイルとカプセル 円環性の実践としての弁潮法
第10章ニヒリズムに抗うクロス・カルチュラルな想像力 カリブ海的身体と幻肢
第11章カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(前編)
第12章カリブ海のポストモダンの地平 カリビアン・カオス(後編)
第13章押し付けられた言語は誰の存在の家か 私-像を描く言語
第14章クレオール礼賛の裏で カリビアン・フェミニズム
第15章クレオールの精神 カリビアン・クィア・スタディーズ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よきし

11
多言語が織りなす植民地として蹂躙された海カリブを通底する思想についての画期的概説書。絶滅させられた先住民、入植した白人、そして奴隷として連れてこられたアフロ系子孫、そしてそれらの混血が葛藤と闘争の中で生み出してきた思想の豊かさに改めて驚嘆。連載時にはなかったフェミニズムとクィアについての論考も骨太で勉強になりました。2024/06/07

T. Tokunaga

5
カリブ海におけるフェミニズム思想とクィアの在り方についての、末尾に近い2章が興味深かった。ピューリタン的マチズモ、そしてプランテーションでの性暴力からの、過剰な家父長制と同性愛の刑法罰を伴う迫害がカリブ海には存しており、それにたいして書くことで立ち向かうしかない、追い詰められた書き手たちの思想に深い意味を感じる。ただ、それ以外の書き手たちには、書くことが記録すること、また記録することは直線的で閉じた時間感覚と世界観、さらには弁証法的価値観を余儀なくすることであるという自覚がないと感じられた。2024/12/19

綿

3
どのような言葉で語るかによって、記録できる現実は変わる、あるいはより力を持つ言葉が記録したものが歴史として認められ、その後ろには「歴史」とされなかった言葉にならない声が立ち尽くしていることを前提としたとき、普遍的「とされている」宗主国の言葉、表現では自分の生きている現実を書き表す、記録することができない、「リアリズム」が本当の意味で自分たちの生を表していないという状態について想像し、その状態との自分の現在地との関係性を考える本だった。この内容の本が日本で出版され、日本語で読めるということの幸運を思う。2024/04/24

oDaDa

2
中村達『私が諸島である』読了。ドイツから発祥したとされるマジックリアリズムがなぜ中南米にて特有の色彩と力を持ちうるか、「カリブ海はカオスである」というところから腑に落ち、積年の疑問が氷解した。理性主体のヨーロッパとは全く違う理論を作り上げるために奮闘してきた「海」からの眼差し…。2024/03/30

TTK

1
カリブ海思想家たちが受け継いだ叡智は、このような直線的進歩主義を拒否する。どこかに到達するのではなく、波に身を任せ、潮の満ち引きのように、円環のイメージを描きながら海をたゆたう。……クレオライゼーションの経験を糧にしたカリブ海は直線的に真理を目指す動きを拒否し、その稀有な混淆性を永遠の過程とし、その中で変化し続けるのである。p.1622025/03/08

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