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内容説明
名画に込められた、あふれる感情の波。ドラマチックな愛と、幸福への欲求は不変――画家たちは描かずにいられなかった。一目惚れ、狂恋、嫉妬、快楽、死への誘い……これもまた、愛なのか。西洋美術の歴史を通じて重要なテーマだった愛は、各時代、さまざまな形で表現され続けている。当時の風俗、文学、神話、旧約聖書などから題材がとられ、画家のインスピレーションを刺激して芸術の価値を高めてきた。時代が移っても変わらない、人間が抱く欲求や希望。ロマンチックな空想や情熱的なものだけではないその感情は、喜び、幸福、満足感をもたらして人々を惹きつける。派生して、呪いや嫉妬、怒りも。愛とはなにか、を考えさせられる作品52点をフルカラーで解説。 [本書の構成]第1章 甘美な恋への憧れ 第2章 そして、狂気へ 第3章 子どもをめぐる愛 第4章 運命の絆
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
70
面白かった。著者は、西洋の歴史や芸術に詳しい中野京子さん。月刊誌「PHP」で2年連載した原稿に加筆修正してまとめた本。読友さんオススメの本です。今回のテーマ「愛」のアイデアは「異形のものたち」の読者コメントがキッカケとのこと。「そして、狂気へ」の章では、嫉妬・狂愛・禁断の愛などをテーマにしていて、ウォーターハウスの「毒をまくキルケー」の憎悪の表情がとても印象に残りました。愛とは何か、を考えさせられる一冊です。2024/09/07
keroppi
69
今回のテーマは「愛」。後書を読むとAmazonのレビューからの企画だそう。愛には様々な形があり、それを絵画は描いてきた。こういう切り口で絵を見るのも実に面白い。「愛」の絵、まだまだありそうだ。2024/02/19
Nat
56
図書館本。「アモルを売る女」にびっくり!売られそうになっている不機嫌そうなプットーや、籠から覗き込んでるプットーと眠り込んでるプットーと何とも不思議な感じの絵だった。古代ローマの壁画にも同じアイディアの絵があり、それをいかしてルイ16世治下に描かれたらしい。人間が、紀元前からアモルを売り買いしていたなんて…。2024/02/01
読特
53
●ヘラが奪ったエコーの言葉。ナルキッソスに思いが伝えられない。木霊が繰り返されるだけ●美女を巡って男が2人。決闘で死んだのは女。嫉妬する理由がなくなった2人は仲直り●その文面は「神への愛のため、私に施しを」ナポリに存在した「物乞い許可証」●画家を諦めた姉と姪を描くベルト。二人を愛すが寂しさも●マルスを魅了し引き留める人妻ヴィーナス。戦争の神の不在で停戦となる。不倫も許されるのか?●衰弱するペットの大蛇。何も食べない理由は飼い主を食す準備か?…西洋美術の中に見出す”愛”の表現。美しくもあり、残酷でもある。2024/02/04
あっか
47
今度のテーマは『愛の絵』。読者さんのレビューから生まれた企画だというストーリーが素敵。愛ということで、中野さん節(?)のピリリと感じるちょっとした毒は鳴りを顰め(とは言えちょっとはある、それがやっぱり面白い)、可愛らしく愛を感じる絵がたくさん取り上げられている。中でも、表紙にも採用されている『星たちを引き連れた夜』が、美しい夜(女神のような女性)・抱かれる赤子・星を抱えたクピド達・美しい青、そして元となった詩、その詩を書いた詩人の思いと背景…全てが素晴らしくて思わず泣きそうになりました。家に飾りたい…2024/05/16