内容説明
戦後の拡大造林によって全国隅々まで広がったスギ人工林は水質浄化や洪水防止、持続的生産といった生態系サービスを著しく損なっている。それでは生態系サービスを向上させる森林とはどのようなものか。東北大学の試験地のスギ林での無間伐区、弱度間伐区、強度間伐区の比較研究によって、通常の林業経営で行われるような弱度間伐ではなく、広葉樹との混交化がすすむような強度間伐でこそ生態系サービスが改善することをメカニズムを含めて示す。あわせてスギ天然林のような本来の生態系を取り戻す植栽や制御、間伐のあり方を提案する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yoneyama
6
戦後の国策で杉一色の森になってしまったが、広葉樹との混交林がいかに生産性が高いかを東北大の演習林で20年かけて実証してきた研究の記録。びっしりの杉植林と混交林の土壌の窒素循環、細根水質の分析など、全国の若い林業研究者たちとの具体的で地道な研究実態を盛り込んで、確かな目線と筆力ある、面白い読み物になっている。自生山の杉天然林の形にしていけばよいとのこと。著者は1954年月山山麓出身で北大林学科、ずっと略奪林業に疑問を持っていたと。2022年刊2025/06/16
gotomegu
3
風谷安宅さんおススメ本。20年の試験を足がかりにした森づくりの話。無間伐、通常の間伐、強間伐を、同じ条件で比較できる森で実施した。結果、強間伐で光を多く入れた森では、自然更新で広葉樹などが生えてきた。皆伐のあとに植林する手間もコストもない現在、どうやって多様性のある、でも経済林としても活用できる森にしていくかが課題である。動植物の多様性も復活させられる。飛騨で見た広めの列状間伐と同様に、参考になる先行事例だ。2026/03/05
はせがーとも
0
多様な樹種により空間・時期においてバランス良く資源を生産・活用することができ、水質など生態系サービスが改善される2025/07/21
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