内容説明
家政夫のバイトを始めた男子大学生・泉竹志は妻を亡くしたばかりの初老の男性・野保の家で働き始める。大きな喪失感に覆われた野保の家で竹志はとあるノートを発見する。それは、亡くなった野保の妻が残したレシピノートだった。夫と娘の好物ばかりが書かれてあるそのノートだが、肝心のレシピはどれも一部が欠けている。竹志は彼らの思い出の味を再現しようと試みるが……。「さあ、最後の『美味しい』の秘密は、何でしょう?」一風変わった、癒しのレシピに隠された優しい秘密とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツン
69
料理を通じて和解する雇用主親子と、過去を克服できた家政夫くん。いい話でよかったけど、雇用主(娘)と家政夫くんの歳の差が気になる(笑)恋愛脳すぎ?続きが読みたいです。2024/07/27
真理そら
49
バイト先の亡くなった奥さんが残したレシピは肝心なポイントが???になっている。???は何なのかを考えながら料理を作るバイト家政夫の竹志クン自身もカレーにトラウマがある。日常的な料理と家族の物語。2023/12/18
ぶんこ
36
大学生の竹志は家事が得意。週に2回家政夫としてバイトをしています。バイト先の野保家は父が一人暮らし。娘が依頼。掃除をしていて見つけた亡き妻の「はてなのレシピノート」には、一つだけ『???』の材料が。それを推理して妻の味にしてみせる竹志さん。トマトの肉じゃが、山芋ゴロゴロのお好み焼き、おつゆや塩のいらない天ぷら、イワシのハンバーグ、カレーに揚げ玉?と、食べたくなるお料理ばかり。特にトマトの肉じゃがはすぐに作りたくなりました。仲の良かった家族の一人が亡くなると、遺された家族はここまで哀しむのかと感慨深い。2024/05/25
荒川叶
15
?の部分を探しながら取り組む料理はどれも家族心配ためのひと工夫がされている。天ぷらに鶏ガラやカレーに天かすはびっくり。 主人公のカレーを受け付けられなくなった出来事も、なんとか乗り越えて良かった。レシピノートの?に今後も取り組んで欲しい2023/12/31
KG
8
肉じゃがに天ぷらにお好み焼き。日常で食べる機会がそれなりにあるメニューなのに、はてなによって一手間加えられたそれらがどんな味なのか食べてみたくなる。特にお好み焼きやカレーに加えられたサクサク食感は味わってみたい。野保の妻である千鶴子が残したレシピノートには、好評だったメニューのレシピが書かれ、彼女ならではの工夫が???で伏せられている。その意図は分からないではないのだが、料理をほとんどしない父娘に残したという点は疑問。主人公が現れなければ永遠に解けなかったのではないか。10年抱えたものが一瞬で晴れるのも。2024/02/24