内容説明
震災や環境保護の影響で脱原発、脱炭素が叫ばれ、代替エネルギーの開発競争が熾烈を極める現代。地熱発電推進派の切り札として、宮城県で巨大な「蔵王復興地熱発電所」の開発が進められていた。人気の若手衆院議員・仁科良一の見守る中、ついに巨大な熱水層が掘り当てられる。仁科は、かつて日本最大の地熱発電所を手がけた開発業者のトップ安藤幸二と共に期待に胸を膨らませるが、熱水層はすぐに枯れ、蔵王の地熱発電は暗礁に乗り上げてしまう。実は開発前の調査データの改ざんがあったというのだ。誰が何の目的で改ざんを行ったのか? 巨大なエネルギー利権をめぐって政財界の謀略と駆け引きが過熱する中、不可能と言われる夢の発電方式「超臨界地熱発電」が実現に向けて動き出す。エネルギー問題が最も注目される今、「予言の書」と言われた名作『マグマ』の正統なる後継作がついに登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
207
真山 仁は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の最新作は、近未来臨界地熱発電政治経済小説でした。 私は、臨界地熱発電にも期待したいと思いますが、太陽光発電自力EVを世界に先駆けて開発することによる日本経済の復権を願っています。 https://www.kadokawa.co.jp/product/322211001406/2024/01/08
hirokun
47
星3 真山仁さんの経済小説が好きで、新刊を中心に前から愛読している作家さんの一人。今回は、エネルギー安全保障をテーマに地熱発電をその解決策として提示している作品。10年以上前、確か真山さんの作品で地熱発電をテーマにした作品を読んだ記憶がある。私の良く知らなかったのだが、超臨界地熱発電を切り口にして物語を展開している。エネルギー安全保障は、国家紛争、食料、災害安全保障と同じように最重要課題であるにもかかわらず、先送りされ、また、政治の世界においても一貫性のない対応に終始している。こんなことで日本は大丈夫か?2024/01/19
PEN-F
45
待ってました!の真山仁さんの最新刊。今作はエネルギー問題。カーボン・ゼロを目指す世界で必須の再生可能エネルギーの中でも真山さんのイチオシは地熱発電。火山大国の日本においては太陽光や風力よりも地熱発電が切り札になる得るとのこと。でもそこは一旦置いといて...とりあえず戦争やめろ。はっきり言って脱炭素社会はゼロと言っている以上は、かなりハードルが高く、世界がひとつになって初めて達成できるものだと思う。戦争なんていうアホな行為すらやめれない世界にカーボン・ゼロという難題はクリアできないと思う。まずは戦争やめろ。2024/01/04
まつうら
39
前作「マグマ」もそうだったが、現代日本のあり方と日本人を強烈に風刺する真山節が、地熱開発をテーマとするこの作品では特に際立っている。「日本人は、日本がエネルギー資源を持たない国だという自覚がなさすぎる」こんなフレーズを見ると、何とてしも石油を確保すべしと動いていた昭和初期の危機感が、いまの日本人には皆無だなとつくづく思う。そういう意味では、各地の温泉組合が地熱開発に反対するのも危機感のなさの現われだろう。地熱開発を観光資源にして、温泉地の活性化をはかるほうが、よっぽど前向きだと思うのだが?2024/06/06
asa.com
32
日本にある唯一の豊かでクリーンな資源、地熱。火力、原発に代わるエネルギーとして進められていた地熱発電開発。蔵王の開発地で熱水源が掘り当てられるも間もなく枯渇。開発時に改ざんされていたデータ。利権に阻まれ、地熱開発に待ったがかけられるが!?日本にはエネルギーがないという認識でいたが、これだけ豊富な熱源があるなら利用しない手はないと思う。実際のところ、日本で地熱の見込みはどのくらいあるのだろうか。少し勉強してみようと思った。2024/03/06
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