内容説明
「山の頂上にドラム缶を積んだトラックが放置されているので対処して欲しい」
村民からの苦情を受けた村役場勤務の“わたし”は、現場の土地に建つ科学研究施設に向かう。
異常な湿気の森に佇む、増改築を繰り返したまるで怪物のような屋敷――
そこで“わたし”は建物の持ち主に、
太古のDNAから復元したという地球外生命体の処分を頼まれるが……(「肉食屋敷」)。
邪悪を極めた4編を収録。
『玩具修理者』『人獣細工』に続く第3短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キナコ
28
久しぶりの小林先生作品。SFホラーの中でも逸材。地球外生命体の増殖方法や怖さが逸脱してるよなあ。人の精神がおかしくなっていく様がリアルで鳥肌が立つ。どれも短編ではあるが、どれも濃厚な作品。人によっては文章の生々しさが苦手かも。言葉遊びが好きな人にはおすすめかな。個人的には『獣の記憶』が好き。人の精神構造の曖昧さと思い込みを鋭く書いていると思う。2024/11/30
Ayah Book
22
Kindleで読みました。どれもなかなか面白い短編集。中でも「ジャンク」はSFかと思いきや叙述的なところもあって楽しめた。「獣の記憶」だけはちょっとご都合的というか、そううまくいかんやろと思ってしまうところはあったが、まあ面白く読みました。2024/04/01
スプリント
19
かなりグロい描写が多いが嫌悪感を抱かせずに読み進めることができる文章はさすがです。2024/03/18
Porco
13
作者初期に書かれた四篇の短編集。怪獣,西部劇,サイコスリラー,ミステリと手を替え品を替えたホラー作品で構成されている。表題作『肉食屋敷』は作者が解説で言っているように、B級モンスター映画で1番面白い場面である、解決する主役が登場する前のイントロダクションとして悲惨な目に合う登場人物Aの行動を追ったような作品であり正直映像化してほしい気持ちがある。 (1/2)2024/01/01
nil
12
装丁が変わったならやはり買わざるを得ない訳で。本作はかなり久しぶりの再読。『わざわざゾンビを〜』でぼんやり覚えた既視感の源は「ジャンク」だったのか。意外なところですっきり出来た。久々に読んでも「妻への三通の告白」と「獣の記憶」が変わらず好み。改めて『人獣細工』と本作を続けて読んでみて自分が狂気を孕んだ主人公モノを好む傾向にある気がしてきたが、よくよく考えたら小林泰三作品のほとんどがそうだった。近いうちにヤスミン祭りがしたい。 『ΑΩ』も復刊したし、昨今のホラー小説ブームに乗じてまだまだ盛り上がって欲しい。2024/01/23
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