内容説明
なぜ一鬼の頸(くび)が斬れない剣士・胡蝶しのぶは子どもたちの人気者になったのか?
『エモい古語辞典』『不道徳お母さん講座』『女の子は本当にピンクが好きなのか』の著者、注目の最新作。
『鬼滅の刃』から『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『すずめの戸締まり』『ミッドサマー』『コンビニ人間』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』――現代のポップカルチャーを支えるキーワードは、「ケア」。
流行りの「ケア」ってちょっと難しそう……?
でも、私たち大人だって、人に優しく、思いやって生きていきたい。
「ケア」=抑圧的で退屈でつまらない 虚無と冷笑の時代を終わらせ、
「ケア」できる人=かっこいい! の時代へ。
●愛される「学級委員的」キャラクター、竈門炭治郎と胡蝶しのぶ(アニメ『鬼滅の刃』)●「経済人」予備軍として扱われる大学生、責任主体とみなされない主婦(『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』)●ヒロインは家父長制にとらわれた退屈なお母さん(映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』)●家父長制の国のハロウィン 暴動からボン・ジョヴィへ(統一教会との関連が取りざたされる「家庭教育支援条例」と岸政彦『断片的なものの社会学』)●コントロールできない人生とナラティブ・セラピー(アニメ『平家物語』)●親切≠道徳 絆ではなく親切で繋がるには(映画『すずめの戸締り』)
ネットで話題の連載が待望の書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
19
「ケア」を切り口に小説やドラマ、映画やマンガのテーマを考察し、そこに浮かび上がってくるケアの論理をエッセイの口調で柔らかく説いていく内容。読みやすく面白かったし、ガイド本としてもいろんなものが紹介されていて良かったです。「ケア」はとても大事。自分にとっても他者にとっても、きっと世界にとっても。2024/06/30
スイ
13
「ケアは本能でも特殊スキルでもなく、慣れによって誰でもある程度はできるようになることなのではなかろうか。」 『女の子は本当にピンクが好きなのか』『不道徳お母さん講座』の堀越さん、今回も軽快な文章で、でも扱う手つきはとても丁寧。 最近の映画やドラマをひきながら、ケアと今の社会についてを述べていて、あちこちでぶんぶん頷いたり、モヤモヤしていたものが腑に落ちたりした。 冷笑はもうとっくに時代遅れさ、ケアできることがかっこいいのさ。2024/01/31
ちょこ
9
ケアをキーワードにしたカルチャー論になっていて面白かった。『鬼滅の刃』や『コンビニ人間』、『エルピス』、『カーネーション』等々様々なエンタメをケアの視点から読み解くのは興味深かった。アニメ『平家物語』の徳子をケアするヒーローと読み替えるのも面白かった。カトリーン・キラス=マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』とチョン・アウン『主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら』が取り上げられてたのも嬉しかった。ケア労働を巡る状況が改善されていくのを願いたい。2025/08/10
イワハシ
9
「ケア」を切り口に語られるカルチャー論。あまり意識していなかった視点だけに、新鮮さを感じた。もしかしたらかなり深いところまで潜れるのかも、と思わせる。良書2024/07/26
kenitirokikuti
8
今週の新聞書評で扱われた棚にて少し拾い読み。著者とはほぼ同い年なので(私が1年と少し若い)、同じ空気を吸った感があって分かる部分が多い。著者の旧著に登場していたお嬢さんが『鬼滅』評とかね。男児・女児に炭次郎と胡蝶しのぶが人気で、女児に人気のランドセル色ランキングに変化があったような。もう赤ランドセルはマイナーで、パープル系・ピンク系・サックスブルー系(くすんだ青)が上位3つに。2024/03/05