権力

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権力

  • 著者名:橋爪大三郎
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 岩波書店(2023/12発売)
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  • ISBN:9784000615914

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内容説明

社会の根本的なテーマなのに,実に論じにくく,理論も存在しなかった「権力」.そもそも権力は,存在するのか.ホッブズの社会契約説.旧約聖書. 税と軍隊.王に従うゲーム.権力を法に置き換えられるか.主権.白い権力と黒い権力. ルールと民主主義…….権力という現象の全貌を明かす書き下ろし.

目次

はじめに

1 権力は,存在するか
2 質量は,存在するか
3 権力は,仮説構成体であるか
4 権力は,どういう特別な仮説構成体か
5 人類学は,なぜ普遍性を主張できるのか
6 社会科学は,普遍性を主張できるのか
7 マルクス主義は,なぜ普遍性を主張できるのか
8 言語学は,なぜ普遍性を主張できるのか
9 権力は,普遍的な概念なのか
10 フーコーの権力論は,どこまで普遍的か
11 フロイトの権力論は,どこまで普遍的か
12 権力はなぜ,自由と結びついているのか
第1章 権力の古典理論
人間は平等である
自然状態
社会契約
契約と自由
社会契約はここが特別
人びとは二重化する
普遍的な教会は存在するか
社会契約はフィクションである
国王を処刑する
メイフラワー契約との違い
社会契約と国王
自由と権力
分離派と会衆派
法と権力
聖書と権力
第2章 旧約聖書と権力
天地創造とエデンの園
最初の犯罪
義人ノア
アブラハムを選ぶ
ヤコブの家
預言者モーセ
十二部族が定住する
士師の時代
預言者サムエルとサウル王
ダビデ王
王子の叛乱
ソロモン王
王たちの罪
エルサレムへの帰還
最高法院と王
ナザレのイエス
キリスト教の始まり
自由と権力の古典理論
ユダヤ教・キリスト教の歴史
キリスト教系の政治哲学
権力論はローカルなのか
第3章 権力の諸理論
常識をなぞる
3.1 近代社会と権力
貨幣と権力
メディアと交換
市場の前提
政府にも前提がある
法の支配
近代人の常識
権力か法か
身体と影
定義と観察
「現実であって仮象」
『資本論』の試み
権力はなお仮象
3.2 法とルールと権力と
権力は法で置き換えられるか
権力は法から派生する
ルールと権力
権力を法で置き換える
権力は法に解消できない
法と権力は,電場と磁場のようだ
権力と言語ゲーム
言語ゲームとは
例:所有の言語ゲーム
ルール違反
復讐のゲーム
殺人をルールに回収する
補修は完全なのか
社会を補修する言語ゲーム
『法の概念』のモデル
責務を課すルール
復讐と処罰
3.3 税をとる王
贈与と税
蕩尽と威信
族長と士師と預言者
王の税
町の裁判と王の裁判
王の軍隊
税は交換なのか
税のゲーム
王のゲーム
王のいる社会ゲーム
税は重層する
物納と金納
支配の社会学
カリスマ
血縁と官職
家産官僚制
社会ゲームから社会契約説まで
3.4 言語ゲームと権力
ゲームと暴力
ゲームと権力
税はメタゲームをうむ
ルールに種類があるのか
ルール違反はゲームを壊すか
警察と軍と司法
暴力は移転するか
暴力は移動しない
右手から左手に
暴力と量子
王のいる社会ゲームから社会契約へ
第4章 権力とルール
ヴェーバーによる定義
定義を読み解く
ヴェーバーのねらい
強盗は権力か
マルクスの権力論
フーコーの権力論
行為の概念
木を切る
殺意とはなにか
権力と意思
有限ゲームと自由
半ば有限ゲーム
自由と権力
王に服従するゲーム
言語ゲームはどう続く
企業で働くゲーム
王のいる社会ゲームの歪み
自由を求める人びと
権力と自由のオセロゲーム
権力を定義する
神は権力をもつか
服従は無条件か
無条件ではない
みなで従う
人が人を支配するのは正しい
ゲームの内と外
権力を封じ込める
社会契約と主権者
憲法とルールの体系
フランドン農学校の豚
近代国家の闇
第5章 民主主義
民主主義とはなにか
近代の民主主義
キリスト教の文脈
民主主義の再解釈
西側世界とそれ以外
民主主義は普遍的なのか
民主主義への挑戦
民主主義の戦略
権利と人権
法の支配
組織と権限
選挙と任期
共に自由に生きる
民主主義は時代遅れか
民主主義の連合
民主主義と言論
権力のペシミズムを越える
パーソンズと権力
ルーマンと権力
フーコーと権力
リバタリアニズムと権力
社会主義と権力
想像の共同体と権力
共同幻想と権力
社会ゲームの本質
第6章 権力と社会
性と言語
権力の特性
意思とルール
ゲームにつなぎとめる
逃亡奴隷
身体の自由
間身体的な作用
その1.言語
その2.性
その3.権力
憲法制定権力
黒い権力
白い権力
意思が整合する
整合しない
命令と権力
意思の整合は予想できるか
貨幣でも意思が整合する
囚人のジレンマ
権力の予期理論
意思の整合が破れる
想像のなかでの意思の整合
理解の円環
権力が権力を生産する
権力は再生する
権力の制度
権力の再生産
命令と法
権力の歴史
よい権力
意思の不整合と権力の制度
社会と権力

言語
権力
社会学のプラン
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ta_chanko

14
民主主義とは西洋近代に生まれた、きわめてローカルな制度であって、普遍的な制度ではないかもしれない。自然権や天賦人権論は、「人間が神から授かった平等な権利」が前提となる。これを共有していないカトリック・正教・中国・イスラムなどの社会では民主主義は定着しにくい。また、権力の暴走を防ぐために「憲法」を定めるとしても、「憲法制定権力」が必要になってしまう。ゲームのルールを定めるためには、ゲームの外部の力が必要。その力を担うのは誰なのか?2023/10/01

はとむぎ

10
全てを疑い、何故を問い構造を明らかにする。わかっているようでわかってない権力、言語、民主主義について考察して定義している。根本を考えることは、強い力となると再認識。恐れ入りました橋爪大先生!2023/12/09

chiro

2
「権力」という言葉が持つ威圧感は誰でも感じるしそれが前面に出過ぎると服従という感覚に囚われるが、著者は「権力」がどういう社会の要請、成り立ちに基づいて作られてきたかを示してくれている。共同体が顔の見えるレベルの小さなコミュニティーであれば意思の整合を図ることは難しくないがこれがより大きな共同体となった時にその意思を整合させるものこそが「権力」だと。言語ゲームから権力を考えるという方法論がどういう形で新しいものなのかはわからないので再読は必要そうだ。2023/07/21

Oki

1
権力が特定の人物の上に結ばれないように法のルールを調整するのが民主主義で権力が特定の人物の上に結ばれ、彼が権力を独占するように法のルールを調整するのが全体主義とする定義方法が紹介されていた。 しかし中国なんかは、民主主義を実現するためには独裁が必要だ、なんて言ってるし。2023/08/14

kkk

0
途中から流し読み2023/05/01

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