内容説明
中国大陸の失地回復の宿願を抱いたまま 逝去した父・蒋介石を継いだ蒋経国は,長期の戒厳令を布き,対外危機をはねのけ,果敢に台湾の経済建設を進めた.次いで台湾出身の総統に選出された李登輝は,漸進的民主化によって国民の新たな統合を図る.彼の進める「静かな革命」は,台湾を中国に吸収させるか,別の国家へと導くのか?
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目次
刊行にあたって
台湾地図
序章 場所の悲哀・場所の幸運――台湾という舞台
1 台湾をめぐるアイデンティティの政治
2 台湾という舞台
第一章 蒋経国と「ソ連経験」
1 幼少時代
2 「連ソ容共」の時代
3 同志二コラ――スターリンの人質
4 「太子」の帰還、「太子」のデビュー
第二章 「台湾人として生まれた悲哀」
1 移民の末・植民地の子
2 戦争の影
3 二・二八事件
4 省籍矛盾、そして「白色テロル」
第三章 権力の旅へ
1 台湾撤退
2 起死回生
3 党の「改造」
4 特務、政工、救国団
第四章 表舞台へ
1 農地改革
2 経済発展
3 地方自治と政治エリートの二重構造
4 権力の階段を上る「太子」
第五章 孤立と繁栄のマネジメント
1 権力継承と「中華民国」の対外危機
2 「十大建設」
3 「増加定員選挙」
4 「台湾化」の寵児
第六章 窮地に立つストロングマン
1 社会の変貌
2 「党外」勢力の誕生
3 複合する危機と美麗島事件
4 ストロングマン最後の応戦
第七章 台湾人総統の闘争
1 「総統兼党主席(ストラングマン・シフト)」を手にする李登輝
2 二月政争
3 「憲政改革」
4 「大陸政策」の形成
第八章 初代民選総統
1 海を渡ってきた「族群」から台湾土着の「族群」へ
2 「中華民国在台湾」のイデオローグ
3 「中華民国在台湾」のセールスマン
4 「飛弾」と「選票」
あとがき――「終章」に代えて
参考文献
関連年表