内容説明
幕府御徒組頭の寺西封元は、突然、老中首座の松平定信に呼び出された。ただごとではないと、不安を胸に定信の元へ向かうと、封元は驚くべきことを命じられる。陸奥国白川郡塙の代官になれというのだ。そこは、飢饉で困窮し、民が逃げ出しているという。定信からの信頼に応えるため、封元は代官を引き受けるが、塙の地は赤子が捨てられる絶望の地だった──。苦しむ民のために自らの半生を捧げた、名代官の知られざる感動の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
152
寺西封元。陸奥国白川群塙の代官。こんな素晴らしい男が江戸時代にいたのか。民のことを考え、民のために政をする。封元は、塙の町の発展と民のことだけ考える頭しかない。本当に民の考えてる。民のために作った広場が、やがて日本の最初の庶民公園になるのだから。今の日本には、封元みたいな男が必要かも。そして、抜擢した松平定信も天晴れな男だ。寺西封元よ!松平定信よ!タイムスリップして現代に来ておくれ~。そして、今の政治家達よ!パーティーするなら国民のための政治をしておくれ。土橋さんの歴史エンタメさすがです。2024/02/14
雅
54
こんなにも素晴らしい人が実在していたとは思いませんでした。優しさに溢れ、努力が深い。指導者の理想ですね。2024/04/08
はつばあば
53
これは凄い本を紹介してくれた読み友さんに感謝しかありません!。ただ読後、その反動で今の政治家にどれだけ憤っているか!。人は平和というかぬるま湯に浸かっていると、怠惰になって甘い汁しか吸おうとしないのでしょうね。昭和の戦争が終わってちょっと世の中に明るい未来が開けてきたら政治家を家業とする甘い汁に群がる輩たちが。寺西封元・・始めた知った松平定信の抜擢した「陸奥国白川郡塙の代官」。世の中がどうしようもないとこまで行き着かないと、こういういい政治家っていう者は出ないものなのか2024/02/21
ポチ
45
代官といえば必ず"悪”が付くのが決まりみたいですが、民の事を本気で考え政治をした人なんですね。今の日本にこんな政治家いるのかな…。2024/02/20
むつこ
26
ひょんなことからある村の代官に配属された主人公・寺西封元が3年以内に村の人口を増やせとの命を受けるお話。表紙のイラストのイメージとはちょっと違ったが、ま、こういうシーンはたしかに存在はしている。悪い人は出てこない、村の人たちもよそから来たお役人をちゃんと受け入れる懐の広さ(やっぱりお金次第?)に、いちお同じ東北地方、行ってみたくなった。2024/03/31