猿の戴冠式

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猿の戴冠式

  • 著者名:小砂川チト【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 講談社(2024/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 450pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065346952

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内容説明

ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビのなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ向かう。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していく――”わたしたちには、わたしたちだけに通じる最強のおまじないがある”。

幻想と現実が互いに侵蝕していく圧倒的筆致。
人間存在の根源的な闇に光をあてる”唯一無二の才能”。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

203
第170回芥川賞候補作・受賞作第五弾(5/5)全作コンプリートです。小砂川 チト、2作目です。猿の惑星的な話かなと思いきや、類人猿ボノボシンクロ小説でした。少しもやっとした感じです。全五作読み終わりましたが、結果として受賞作は、今が旬ということもあり、「東京都同情塔」で良かったのかも知れません。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003860602024/02/22

シナモン

94
群像2023年12月号で読了。競歩選手の女性、しふみと人間に言葉を学習させられた動物園のメスのボノボ、シネノの心の交流。難しくて世界観に入り込むのに苦労したけど途中から分からないなかにもぐわーっとした高揚感に包まれ引き込まれた。猿と人間、どっちが上なんかない。その違いなんて紙一重。2023/12/23

いっち

50
主人公は女子競歩の選手。大会で失格になった。故意による妨害に見えたのと、テレビ中継されたこともあり、バッシングは広がる。主人公は引きこもる。偶然テレビで手話をする猿を見る。主人公が幼少の頃、交流があった猿だった。主人公はその猿と言語訓練を受けていた。言語訓練なので身体を使ったコミュニケーションをしたら、研究者に叱られる。叱られた主人公を、猿は励ましてくれた。王冠のジェスチャーで。励ましてくれる存在。他者ではなく、自分で自分を励ますのよという励まし。自分で王冠を載せる。それでいい。自分がそう感じたならいい。2023/12/31

ヘラジカ

45
またもや驚異の怪作・力作である。読み始めは前作と同様、小砂川ワールドに入り込むまでには若干苦労したが、朧気ながらも作者の意図のようなものが分かり始めた途端、否応もなく呑まれてしまった。私個人は遊離したペルソナを知性的に劣る(とされる)類人猿に投影していると解釈したが、正解はともかくとして、分裂する自意識、理性と本能が肉体から剥がれ、暴走する描写の説得力は凄まじい。社会集団が見る表層と自らが統御している内面の軋轢を見た。終盤での”並走”、ラストの戴冠式には思わず唸り声を上げてしまうような力感が溢れていた。2023/12/16

アマニョッキ

37
前作『家庭用安心坑夫』も大好きだったが今作はまた凄まじい。アスリートのしふみとボノボのシネノの魂の交流という大筋の裏に人間のエゴを淡々と描き出す。知能と見た目と節度を兼ね備え社会に適合することに特化したものだけが正とする世の中。ふかふかのパン生地から【個】を切り出したあの日から何かが歪んでしまったのかもしれない。人間が動物を囲い嗜むことが個人的に好きではないので思う所多々。あと、自分のHP削って書くタイプの作家さんとお見受けするので体調だけは十分気をつけていただきたいです。ずっと書いてください大好きです。2024/01/04

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