毛沢東 革命と独裁の原点

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毛沢東 革命と独裁の原点

  • 著者名:興梠一郎【著】
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  • 中央公論新社(2023/12発売)
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  • ISBN:9784120057205

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内容説明

習近平が統べる現代中国はなぜここまで強権的な独裁国家になったのか。それは、習近平が強烈に意識し、模倣してきた建国の父・毛沢東自身の躓きに由来するのだ。
毛沢東にとって共産主義は、究極の「選択」だった。しかし、たとえ「救国」のためであっても、民主主義の理想をかなぐり捨てて暴力革命を選んだツケを、中国は今日まで払い続けている。若き毛沢東が書いた手紙、新聞記事、論考および旧ソ連の史料等をもとに、中国共産主義の原点を説き明かし、現代中国が類を見ない独裁国家になった遠因を炙り出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

124
毛沢東は「手段のためなら目的を選ばない」人物だった。混乱の続く中国では強権を備えた組織が必要と見抜き、立憲君主制を支持したりスペンサーに傾倒した末にマルクス主義と出会って共産党に入ると、優れた組織能力を発揮して内外に知られるようになった。党首脳部も実務能力の高い毛を抜擢したが、指導者となった毛による粛清と独裁強化により個人と党が一体化していった。毛の手先となり道具となった共産党が支配する中国には、必然的に第二第三の毛を生み出すシステムが内蔵されていた。習近平は毛沢東の忠実な弟子であり奇怪なクローンなのだ。2024/03/04

まーくん

84
「革命」と「独裁」は表裏一体で、その「独裁の遺伝子」は綿々と今に引き継がれている。毛沢東の原点に遡り革命と独裁の淵源を明らかにする。毛沢東の誕生から共産党内で権力を掌握するまでの前半生を、90年代になり公開された多くの資料で探る。彼も青年期には欧米流の民主主義者であり、平和的改革で中国を変えられると思っていたという。結局、民主化運動に挫折、ロシア革命と同様の暴力革命の道に進んだ。やがて革命と独裁が「自己目的化」して、文革など未曾有の災難を中国にもたらすが、それは後の話。中国革命はコミンテルを通じた⇒2024/10/25

えちぜんや よーた

71
中共にせよ日共にせよ、はたから共産党を見ていると自分の理解を超えることが多い。それはなぜなのか?今を起こっていることを知るためには過去を遡ることが有用であるが、この本はまさにそのことがぴったり当てはまる。成人した日本人であれば毛沢東の名前を知らない人はいないろう。だが毛の陰でひっそり亡くなった陳独秀はどうだろうか。陳の言動や考えを知ると、今の中国が独裁体制に走りなおかつ共産党が統治する限りはそういう人物が表れ続けることになることがわかるだろう。2024/03/29

紙狸

19
2023年12月刊行。若き毛沢東の思想と行動の遍歴を描く。毛沢東に影響を与えた人物として陳独秀がしばしば登場する。陳独秀も毛沢東も、西側の民主主義にひかれた時期があった。結局は民主主義を捨てて、ロシア式革命を中国で追求する。毛沢東は中国共産党の指導者となる。陳独秀は党から除名され四川の山奥で死去する。二人の命運を分けたのは、「スターリン」だったという。コミンテルンを通じたソ連の影響力の大きさが強調されている。陳独秀が死去2年前の1940年に書いた文章は、共産党独裁体制を透徹した眼で批判していて、印象的だ。2024/05/07

kanaoka 58

9
本書を読むことで、狡猾かつ残酷という毛沢東の単純なイメージが、より人間的で複雑な人物像に変わりました。 若き毛沢東は憂国の士であり、欧米流の民主主義者であったが、様々な挫折や権謀術数を経験しながら、暴力革命と独裁の道へと進んでゆく。そして、自身の独裁そのものが目的化していく。 それは、共産党の制度自体が、領袖独裁を生み出すのであって、その運の強さと経験から学ぶ力を兼ね備えた毛沢東が選び出されたのだといえる。2024/04/02

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