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内容説明
《ドシラ ドシラ ドシラソラシドシラ》というテーマ曲で怪獣に生命を与えた伊福部昭。原点はアイヌとの深い交流だった。北海道のアマチュア作曲家がチェレプニン賞第1位となり活躍した戦前・戦中から放射線被曝による雌伏を経て、映画で復活。91年の生涯を世界音楽史の中で捉え直し、なぜ幼児の心すら攫うのか、その秘密を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
105
伊福部昭という作曲家は、欧州音楽とは異なる経験を重ねた末に生まれたと初めて知った。幼少時からアイヌや白系ロシア人の音楽に親しみ、成人するまで北海道を離れず、正規の音楽教育も受けていないのに海外の一流音楽家の注目を集める曲を作れるほどになっていく。そんな経歴だからこそ正統派を自負する戦後楽壇に敬遠され、『ゴジラ』をはじめ映画音楽に関わったこともあり無視されてしまっていた。鬱屈を抱えていた頃に大ファンである片山さんと出会い、思いのたけを語れたのは幸福な時間だったろう。まさに弟子による師匠の理想的な評伝なのだ。2024/04/08
Tatsuo Ohtaka
5
伊福部の自宅で20年以上にわたって続けられた数々の対話をもとに、膨大な資料と知識とともに書き上げた評伝。伊福部独特の喋り口調がふんだんに盛り込まれ、その語りに酔わされる。連載のためか後半少し端折り気味になっているけれども、決定版評伝と言っていいのではないだろうか。2024/03/12
takao
4
ふむ2024/04/20
Wataru Hoshii
4
大の伊福部マニアである片山先生による伊福部昭評伝。長年の対面インタビューをもとに編まれた労作だ。伊福部の音楽が何から生まれて、何を目指していたのかを、時代の文脈を踏まえて分析し、背後にある思想にまで遡及していく文章は片山さんにしか書けない。自分が音楽のことを考える上で重要なヒントがたくさん書かれていると思ったし、伊福部のモットー「雀百まで踊り忘れず」の意味がよくわかった。作曲というものはそうあるべきだという考え。ラヴェルのピアノ協奏曲とゴジラの関係を否定する言葉が鋭い。旋律ではなくリズムが主題なのだと。2024/03/06
キュー
1
長年に渡るインタビューの成果が圧倒的な本。改行が少なくて見た目の厚さ以上のボリュームで読書が得意で無い自分は読むのに疲れたかも(笑)。伊福部家の家系の話とか知らなかったのでその辺も面白かったけど、音楽的な知識がほぼ無い自分には理論的な話とかはよく分からなかったけどとにかくすごい事を言ってるんだろうなというのは伝わった。すごいじっくり半生を語っていたのにラスト3章くらいで急にまとめ出した感が残念か。ゴジラの音楽をやった時の話とかを詳しく知りたかった。他でも語られてるんだろうけど。読み応えありました。2024/03/25