内容説明
「願はくは花の下にて春死なむ」――どうすれば西行のように清々しく生きられるのか。出家の背景、秀歌の創作秘話、漂泊の旅の意味、桜への熱愛、無常を乗り越えた「道」の思想、定家との意外な関係、芭蕉への影響……偉才の知られざる素顔に迫る。西行一筋60年、西行歌集研究の第一人者がその魅力を語り尽くす決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
102
184首の名歌とともに、出家、桜、旅、信仰、知友、信仰など、西行の人生と歌とを辿ることのできる味わい深い一冊である。西行というと無常観が強調されるが、むしろ、前向きに生きる一人の人間の姿が見えてくる。秀歌を詠もうという野心ではなく、旅日記や手紙のようにしてスケッチ風に詠まれた歌が多いことにも人間的なものを感じる。出家の事情、待賢門院璋子との関係、江口遊女との応酬などの有名なエピソードに対する見解や、西行と定家を対立的に捉えた小林秀雄さんの西行論に対する論評など、寺澤先生の思いが伝わってくるいい本だと思う。2024/03/27
仁藤
3
願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月の頃 に全てが詰まっている 76点2024/04/13
荏苒 byn
3
小林秀雄によると「 歌の世界に人間 孤独の観念を 新たに導き 入れ これを 縦横に歌いきった人」 。 「深い悲しみ」 があると いう。 今の独行時代にマッチすると、インスパイアされて本書に 移動してきた次第。孤独を扱った部分は 6章の山里の西行で、仏道修行と 草庵と やはり 秋冬がセットになって沁みる感じである。 百人一首の「 嘆けとて月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな」が西行法師で、 日本人の心情・伝統・歌謡の 原流を見る心地覚ゆ。browsed2024/04/08
果てなき冒険たまこ
3
もう星の数より多いんじゃないかと思えるくらい西行に関する本は出版されてるしその内容もすでに語られたことがほとんどなんだけど、なぜか毎回新しい発見があるっていうのもまた西行の良さなんだろうな。800年以上前の人が書いた歌を現代の人が読んでも何となく理解できた気になれるのもその気持ちがわかる気がするのも他では味わえない感覚。西行に人気があるのがやっぱりわかった気になっちゃう良い本だと思うな。定期的に西行の歌に触れるには最適な内容。2024/03/03
Junko Yamamoto
2
テーマごとに整理され、かつ和歌も多く引用されておりわかりやすい。2024/04/17