ちくま新書<br> ブッダという男 ――初期仏典を読みとく

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ちくま新書
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく

  • 著者名:清水俊史【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/12発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075949

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内容説明

ブッダは本当に差別を否定し万人の平等を唱えた平和主義者だったのか? 近代の仏教研究は仏典から神話的装飾を取り除くことで、ブッダを平和主義者で、階級差別や男女差別を批判し、業や輪廻を否定した先駆的人物として描き出してきた。だがそれは近代的価値観を当てはめ、本来の内容を曲解したものにすぎない。では、ブッダの真の偉大さは一体どこにあるのか。これまでのブッダ理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。

目次

はじめに/第一部 ブッダを知る方法/第1章 ブッダとは何者だったのか/「歴史のブッダ」を問い直す/「神話のブッダ」を問い直す/これからの「ブッダ」を問い直す/第2章 初期仏典をどう読むか/初期仏典とは何か/批判的に読むということ/先入観なく読むということ/傲慢なブッダ、謙遜するブッダ/韻文優先説と人間ブッダ/第二部 ブッダを疑う/第3章 ブッダは平和主義者だったのか/「善なる殺人」は肯定されるのか/暴力や戦争はどのように否定されるのか/征服を助言するブッダ/ブッダの生命観/殺人鬼アングリマーラ/父殺しの王アジャータサットゥ/解釈としての平和主義/第4章 ブッダは業と輪廻を否定したのか/神話を事実である「かのやうに」捉える/無我と縁起/無記と輪廻/中道と輪廻/ブッダの輪廻観/第5章 ブッダは階級差別を否定したのか/ブッダの近代性・合理性/平等を説く資料と、差別を容認する資料/沙門宗教という文脈/聖と俗の平等/理想と現実/アンベードカルの社会改革/第6章 ブッダは男女平等を主張したのか/仏教と女性差別/女性を蔑視するブッダ/女性の〝本性〟/平等の限界と現実/ブッダの男女観/第7章 ブッダという男をどう見るか/現代人ブッダ論/イエス研究との奇妙な類似点/「歴史のブッダ」と「神話のブッダ」/第三部 ブッダの先駆性/第8章 仏教誕生の思想背景/生天と解脱/バラモン教と沙門宗教/沙門宗教としての仏教/第9章 六師外道とブッダ/道徳否定論/唯物論/要素論/決定論/宿作因論と苦行論/懐疑論/沙門ブッダの特徴/第10章 ブッダの宇宙/梵天と解脱/生天と祭祀/瞑想と悟り/現象世界と解脱/第11章 無我の発見/個体存在の分析/バラモン教や唯物論者との違い/ブッダは「真の自己」を認めたのか/経験的自己と超越的自己/なぜブッダは自己原理の有無に沈黙したのか/ブッダの無我説/第12章 縁起の発見/縁起の順観と逆観/煩悩・業・苦/ジャイナ教の縁起説/ブッダの縁起説/終章 ブッダという男/参考文献──より深く学ぶために/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネギっ子gen

58
【先入観に囚われたブッダ理解を、批判的に検証】初期仏典を丹念に読み解くことで、その先駆性を導き出す“尖がった”ブッダ論。巻末の、詳細な参考文献紹介(研究背景含む)が、本書の白眉です。遥か昔に、史的イエス関連本を読み漁ったことを想起。題名に触発され田川先生の本を再読したいなぁ、って思う。<「仏典から神話的装飾を取り除いて歴史を抽出する」という研究手法の限界について私見を提示し、2500年前に生きたブッダという男の先駆性を、バラモン教やジャイナ教と比較することで、歴史的文脈のなかに位置づけようと試みた>と。⇒2024/11/07

逆丸カツハ

54
正直なところどこまで妥当なのか測りかねるところがあるが、非常に面白かった。過去の人物であるブッダが現代の価値観に合うような人間であったと考えることはおかしいという率直な指摘は説得力がある。歴史的な限界から一人逃れられるというのは疑ったほうがいいのだろう。自分もブッダの言葉を読んで解釈をひとつかふたつしたが、それの妥当性がどれほどのものかわからない。それはブッダに対して正しくなくとも、意味のないものではないのだけれど。2024/01/22

ぽんすけ

36
気鋭の仏教学者の筆者により書かれたブッダ本。数多い先達者達の論考に臆することなく新しい考え方でブッダとその思惟について研究されてることが伺える良書。私はブッダというよりお釈迦様と見てしまうからか、ブッダを歴史的存在というより神話的存在と考えているようだ。だからこの本でブッダは決して非差別主義者でも戦争反対者でもないと言われると、若干抵抗を感じた所もあったが、本書を読み進めていくと確かにブッダの生きた2500年前と現代の常識が同じなわけないなと納得した。筆者は論争の渦中にいるらしいので頑張ってほしい2025/08/08

えも

25
刺激的なブッダ論▼中村元を始め「歴史のブッダ」を追い求めた近代の仏教研究(ブッダを平和主義者で、業と輪廻を否定し、階級差別を否定し、男女平等を主張した、とするそれ)を、研究者自身の理想を代弁させた、新たな「神話のブッダ」を生み出しただけだと批判し、その上で、当時のインドに乱立した様々な宗教と比較した仏教の先駆性を初期仏典から丹念に読み解く、という革新の1冊▼鋭い!2024/08/20

佐倉

22
曰く心理学者であり平和主義者でありヒューマニストでフェミニストで…と様々に語られるブッダだが”「歴史のブッダ」と称されるものは、研究者たちが、単に己が願望を、ブッダという権威に語らせてしまった結果に過ぎない”とし、初期仏典からブッダと仏教の教義が2500年前のインドの常識や宗教の文脈に沿った存在であることを論じてく。科学なり思想なり、現代的な視線を投影すると新たな神話が生まれてしまう…という指摘は鋭いと感じる。仏教の平等性を根拠に不可触民の差別撤廃をインド憲法に盛り込んだ例も紹介されているように、2024/01/09

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