言語学的ラップの世界

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言語学的ラップの世界

  • ISBN:9784487816880

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内容説明

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日本語ラップをこよなく愛する言語学者が、韻に込められた「ことば遊び」を分析する言語学エッセイ。Mummy-D、晋平太、TKda黒ぶちへのインタビューも収載。

本文より:

 学生時代の私は、ただ日本語ラップが好きだった。好きなラップを聴いているうちに、いつしか自分で韻の仕組みを分析するようになっていった。その頃は、何か見返りを求めていたわけではなく、ただただ好奇心に導かれて研究していた。しかし、そんな研究は少しずつ有名になっていき、いつの間にか自らの分析をプロのラッパーたちに披露する機会にも恵まれ、メディアに出演する機会も多く頂くようになった。
 近年では、日本語ラップを大学教育に取り入れる意義を強く感じるようになり、数多くのラッパーを授業にお招きして、様々なことを言語学者として――そして大学に身を置く教育者として――考え続けている。日本語ラップから我々が学べることは、多岐にわたる。日本語の構造を見つめ直すこともできれば、アメリカの社会状況を理解することもできる。さらに、コロナ禍のようなストレスが溜まる状況で前向きになれる力ももらえる。本書では、これらの「ラップを学問する効用」について具体的に伝えていきたいと思う。

――第1章「日本語ラップと言語学者」より

目次

第1部 日本語ラップと言語学者
◆第1章 言語学って何ですか?
◆第2章 朝礼:先生の長い思い出ばなし
◆第3章 エピソード0:言語学者、日本語ラップの韻を分析する(06)
第2部 言語学的ラップの世界
◆第4章 講義1:レジェンドラッパーたちを大学の授業に招く
COLUMN1 晋平太先生に教わる自己紹介ラップ!
◆第5章 講義2:ヒップホップの誕生とその歴史
◆第6章 講義3:制約は創造の母である
◆第7章 講義4:日本語ラップは言語芸術である
COLUMN2 あるラッパーとの思い出
第3部 日本語ラップの現在地 インタビュー聞き手:川原繁人・しあ
◆第8章 TKda黒ぶち 「ネガティブこそ武器になるラップの世界」
◆第9章 晋平太 「子どもからお年寄りまで、誰もが楽しめる日本語ラップ」
◆第10章 Mummy-D 「歴史を紐解いて考えるMummy-Dが見てきた日本語ラップの本質」
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Koning

45
結構ポップなネタで本を出してる言語学者川原さんの日本語ラップの言語学的分析本。というか、ラップの韻の踏み方がモーラではなくシラブルになってるとか、子音の調音点や調音法によるリンクした子音のペアリングとか、w, iの弱化と字余り何かは色々目から鱗の一枚も落ちようもんですわ。2024/01/07

yuma6287

7
名画を見る眼の日本語ラップ版。ラップで論文を出した言語学者による、ラップの魅力が凝縮した一冊。言語学的なラップの素晴らしさの解説は勿論、ラップの古今や最先端のラッパーとの対談が収録されており、何かしらでラップの魅力を感じる事が出来るのではないか。歌詞のどういう所が素晴らしいのか。短歌や俳句の延長線上にある。といった事が知れて面白かった。研究のために歌詞をテキストファイルに一つ一つ起こしたという苦労話は何度見ても泣ける。オツカレサマ。ページ数も少ないし手に取りやすい。研究対象が面白いので他の作品も読みたい。2024/02/25

拡がる読書会@大阪

5
言語学者の川原繁人さんが日本語とラップの相性の良さや、韻を踏む「言葉遊び」として日本語愛を語っているエッセイと現役ラッパーへのインタビューが載っている本作。 ラップ自体は海外のものですが、それが日本語でも当てはまる事が気になって韻の仕組みを分析を始めたことや、その分析をラッパーたちへ披露していくことなどが語られています。 言語学って面白いですよね。会話使っている日常の言語は実は色んな構成でなりっているんです。 https://note.com/sharebookworld/n/n6fa1e91932712023/12/17

於千代

3
言語学的・音声学的にラップを分析する。日本語ラップでは似ている子音で韻を踏むことが指摘され、そもそも「似ている子音」とは何かを実証する。また後半にはラッパーとの対談が掲載され、Mummy-Dとの対談では日本でラップがどのように受容されていったかが整理されており、興味深かった。2023/12/10

のりのりの離島

1
著者のラップ本は2冊目。Mummy-D氏とのページの、日本語ラップの歴史はかなり勉強になった。2024/01/23

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