内容説明
大ケガのトラウマで無気力になってしまった室崎凍夜は、余命百食――残り100回食事をしたら死ぬという奇病にかかった女性、咲村梨依と出会う。梨依は寿命までの食事に付き合ってくれる相棒を探しており、死を恐れず日々を楽しむ彼女に興味を抱いた凍夜はグルメ旅に付き合うことに。毎回満面の笑みで完食する梨依に、次第に凍夜は心惹かれて……? 旅の終焉に起きる奇跡に、温かな涙が止まらない感動作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じーつー
6
美味しいものを食べることは幸せなこと。 だけどその幸せを1つ重ねる毎に命が縮まっていく病。 治療法の無いその病は余命100食と呼ばれている。 およそ3ヶ月の短すぎる時間。 死に向かうことを引き換えとする食事ってどれだけ怖い事なんだろう。 少なくとも自分なら、この余命を宣告されたら梨依のように「じゃああと100食、おいしい物を食べないと」なんて前向きな事は絶対に言えない。 梨依も凍夜もこの運命でなければ出会うことはなかったのに、出会った時点では別れが定められているなんて悲しすぎて。 涙が溢れた。2024/01/30
色素薄い系
4
面白かったです。残りの命の分美味しいものを食べようとしている梨依が前向きに振る舞っている一方で死にたくないという想いも抱えている。凍夜に最初声をかけた時は「誰かとご飯が食べたかった」という単純な理由だったと思うんだけど、いくら全然知らない状態からスタートしたとしても情がうつるに決まっているじゃないか、と。もっと早くに出会っていたら?という思いを凍夜が持った時にあの時じゃなければこの関係は始まらなかったと結論した時が切ない。梨依の事を傷ではなく思い出にして凍夜には生きて行ってほしい。2024/02/11
れな
3
過去に死と向き合った凍夜と近い未来に死を迎える梨依の、美味しいを巡る物語。「死」という共通点があったからこそ出会った二人。 100食で余命を迎える梨依の一食一食を笑顔で美味しそうに食べる姿に、そして進展していく二人の関係性に、切なさが溢れます。 涙のこぼれるラストに悲壮感だけではない温かさを感じました。 2023/12/05