内容説明
決別した母と十数年ぶりに顔をあわせた娘、友情は永遠に続くと思っていたあたしたち、親しくなかった昔の同僚、見えない鎖に縛られた姉妹、穏やかな彼女に物足りなさを感じる僕の前に現れた刺激的な女性――。どれだけ一緒にいても、わかりあえない。でも近づきたくて、もどかしい。一筋縄ではいかない女同士の人間関係に悩めるあなたの心を鮮やかに解き放つ、共感度MAXの8篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
65
伝わらない、もどかしい女性同士の関係がテーマの短編集。少しミステリーチックなオチの話もあって意外と面白かったです。1作目の『滅亡しない日』から衝撃の話でした。とても仲が良くても、うまく行ってない関係同士でも、こんなことをすれば二度と仲良く出来ないと理解しているのに、どうして相手のことを傷つけてしまうのだろう。わかりあえていると思っていたのに全然分かりあえていなかったり、その逆だったり。女性同士の面倒くさい間柄がよく出ていました。『お茶の時間』は台湾茶が美味しそうで興味が湧きました。2024/03/01
akiᵕ̈*
34
タイトルからしてその内容がやっかいである事が分かる8編からなる短編。家族、恋人、友達と日常の身近に起こりうる様々なシチュエーションがもたらす、ままならなさがどれも絶妙に描かれている。自分がこうと思っていても相手は全く違う思いでいるって事に気づけたときのその感情の変化だったり揺れが、分かるわ〜と思いながら読んでいた。「お茶の時間」はちょっとやるせなさもあり、「正直な彼女」の僕の感情は、きっと誰もが考えてみたりするだろうし、なんといっても「切れなかったもの」の姉の存在たるや!どのお話しも地味にじわじわと残る。2024/01/15
mayu
25
初読み作家さん。『なんで、あんな事してしまったんだろう』とか『なんでわかり合えないのだろう』が日常に溶け込む8つの短編集。高校の頃の友情の危うさ、女同士だけど共有できない想い、子供の頃の大人への憧れ、母との確執。それぞれの日常が淡々と進んでいくかと思いきや、自然な流れで差し出される展開に「おぉ」となる。「神様の名前」がなんだか切なくて1番好きだった。読み終えてタイトルを見て思うのは、家族だって友達だって確かにどうしたってわかり合えない関係ってあるのかもなぁと思う。そんな一冊。2023/12/15
くろにゃんこ
22
短編集。連作だったらいいのに…先が気になるお話。友人、同僚、親類など女性たちの間で起こるあれこれ。なんだかとってももどかしい😓2024/02/27
はる
15
最近人間関係に悩むことが多く、タイトル・帯の言葉に惹かれて読んだ。1話目から何これ!?という展開で驚いたが、読み進めていくうちにどの話にも共感出来る部分があり、少しずつ心が軽くなっていく感覚を味わえた。自分だったらこうするのにどうして分かってくれないのだろうと人に期待してしまい、価値観の違いにもやもやすることが続いていたため、「一万回話しても、彼女に伝わらなかったこと」というタイトルに何より救われた。また、悩むことがあったときにこのタイトルを思い出し、読み返したい。2024/01/24