内容説明
まがい物? 偽金? 値段が高すぎる!
その値段には裏がある―!?
人情と算盤で謎を弾く!
名手の傑作時代小説
正しい値で売らないと悪行になっちまう――
「私には物たちの声が聞こえてくるのですよ。辛く悲しい声です」物の値段を見張り、
店に指導する役回りの諸色調掛(しょしきしらべがかり)同心を務める澤本神人。
今日も子分の庄太と江戸の町を見まわるが、値段の裏にあるさまざまな人情や思惑がからみあい、
神人を悩ませる謎と悪事が次々と待ちうけていた。同役だった父の代から未解決の贋金騒動の真相にも迫るが――。
(本書は2016年刊行『商い同心 千客万来事件帖』の新装版です)
〈目次〉
「雪花菜」
「犬走り」
「宝の山」
「鶴と亀」
「幾世餅」
「富士見餅」
「煙に巻く」
解説/細谷正充
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
19
月刊ジェイ・ノベル2011年10月号雪花菜、12年2月号犬走り、5月号宝の山、8月号鶴と亀、11月号幾世餅(砂払い改題)、13年2月号富士見酒(くだらねえ改題)、5月号煙に巻、の7編の連作短編を2013年12月実業之日本社から宝の山商い同心お調べ帖として刊行。16年1月商い同心千客万来事件帖と改題して実業之日本社文庫化。23年12月実業之日本社文庫新装化。シリーズ1作目。2作目のために再読。よくできた連作で、父が残した贋金事件を解決する辺りが特に面白い。姪をはじめとするレギュラーな登場人物たちが楽しい。2024/02/16
onasu
14
10年ぶりの続編に伴い、初編も新装版(?)で復刊だそうで、こちとらも初期の感想で振り返ってから…。 元は定町、隠密廻りだったが、今は諸色調掛同心という澤本神人(ジンニン)。市中のモノの値段を見張る役目で、2年前に新任の奉行の一言から転身。当初は腐していたが、今では案外役に立っているとしていて「なるようにしかならねえ」が口癖の割に…。 血生ぐさいのが早々ないのも心安くいけるし、具体的にどうとは言えないが、文章のリズムから梶さんを最初に読んだ頃の感慨が。記憶はそう言えば程度で、いい機会になりました。2024/02/12
M2
2
同心が商いをする話かと思ったら違いました(笑)。諸色調掛同心という物の値段を見張る同心のお話。馴染みのない役職なので興味深く、そして魅力的な登場人物が多いので楽しく読みました。とくに庄太の(ある分野での)有能さに感心し、御奉行さまの真意におおっと思いました。次巻が出ているようなので楽しみです。できれば早く文庫化してほしいです。2024/03/17
定年おやじ
1
「商い同心」の続編が10年ぶりに出版され、初編も新装出版されて並んでいたので、こちらから読んでみました。諸色調掛という捕り物には珍しい同心が主人公のお話です。機微に富んだお話の連作で楽しく読みました。続編も期待です。2024/03/13