クィア・シネマ

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クィア・シネマ

  • 著者名:菅野優香【著】
  • 価格 ¥2,799(本体¥2,545)
  • フィルムアート社(2023/12発売)
  • ポイント 25pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784845921256

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内容説明

クィア・シネマという「可能性の地平」に向かって------

ジェンダーやセクシュアリティ、人種に対する規範や制度を問い直し、家族主義や都会主義に抗い、直線的な時間に逆らって歴史を書き直す、気鋭の研究者が照らし出すクィア・シネマの重層性

アルフレッド・ヒッチコック、オードリー・ヘプバーン、ジュディ・ガーランド、グザヴィエ・ドラン、セリーヌ・シアマ、田中絹代、三池崇史、美輪明宏、原節子、高倉健……作家、スター、作品のみならず観客やコミュニティを縦横に論じる「雑種」で「不純」な映画論

ジェンダーやセクシュアリティ、人種、コミュニティの規範や理想を強化し、教え込む教育的な役割も担ってきたシネマ(映画)。そこで生まれた「常識」や「当然」を疑うことによって、慣れ親しんできたアイデンティティやカテゴリーを問い直し、「異なる」欲望や「非規範」的な関係の可能性へと導くものこそがクィア・シネマである。直線的な時間に抗い歴史を書き直すその試みは、現在や現状を肯定することなく、可能性として存在し続ける「地平」だと言える。

4部構成による本書は、常識や当然に抗うクィア・シネマの「雑種」で「不純」なあり方を体現する。クィア・シネマの歴史や横断性、クィアの理論と歴史を俯瞰する第1部。ジュディ・ガーランドといった黄金期ハリウッドのスターから、グザヴィエ・ドランやセリーヌ・シアマといった近年の注目監督まで、アメリカおよびフランスのスターや映画作家、映画作品のわたしたちが知っているあり方とは「別」のあり方を提示する第2部。美輪明宏や原節子、高倉健といった映画スターたちと、そのファンやファンたちのコミュニティを取り上げ、雑種性が強く表れた日本映画を扱う第3部。そして、1970年代のフェミニスト映画運動や日本で開催されるクィア・LGTB映画祭を深く掘り下げ、映画とコミュニティの関係を地域性を絡めつつ論じる第4部が最後を飾る。作家論やスター論、作品論のみならず、観客論やコミュニティ論も入り混じり、クィア・シネマの射影の広さが感じられる構成になっている。

編著や共著、雑誌などでクィア・シネマの可能性を日本に紹介してきた気鋭の映画研究者による待望の単著デビュー作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

17
クィアを扱った映画批評。クィアがよくわからないのだが性的なマイノリティーで差別される人たちという意味だろうか?ヒッチコック『見知らぬ乗客』の原作はパトリシア・ハイスミスで、映画の中に同性愛が隠されているとか。ハイスミスの映画が公開されるので、それも興味があった。ただ『見知らぬ乗客』は未見なのでよくわからないところがあった。面白いのは小津安二郎「紀子三部作」の原節子の映画批評。『麦秋』では『若草物語』のキャサリン・ヘップバーンのファンだと公言する紀子(原節子)に「変態」と言うオヤジの佐野周二。2023/10/23

うちこ

5
小津監督の「麦秋」への言及を読みたくて手にしました。 わたしは「麦秋」の28歳の主人公・紀子と女学校時代からの親友アヤの関係性が大好き。 紀子の上司である佐竹という男性が、紀子本人のいない場所で、紀子の親友アヤにジョークを交えながら心のプライバシーを探る場面について、「ジョークをわかろうとしないことは、それ自体が ”女性をサカナにして” 男同士の絆を深めようとするホモソーシャリティへの抵抗」と書かれていました。アヤはここでちゃんとスルーしてる。 あの時代にこういう態度を画面に乗せてきた小津監督の慧眼よ!2025/08/17

さやか

2
いろいろな映画をとりあげて、ジェンダーやセクシュアリティについて考えている本。映画がクィアの理解にたすけになると知らなかったきら、救われる思いがあった。 クィア・シネマをみると、ジェンダーやセクシュアリティの規範や固定観念が新しくなるのだと思ってる。いままでエンタメだと思ってた映画とはまた違う映画について、想像させてくれる。2024/09/15

rui_hua_

0
作品単位での分析だけでなく、スター分析、ジャンルや映画祭など幅広く考察している。その視野の広さには驚く。純映画劇運動から丸山明宏への接続が面白かった。2023/06/21

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