創元ライブラリ<br> ミステリウム

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創元ライブラリ
ミステリウム

  • ISBN:9784488070885

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内容説明

ある炭鉱町に、水の研究をする水文学者を名乗る男が現れる。以来、その町では墓地や図書館が荒らされ、住人たちは正体不明の奇怪な病に侵され次々と死んでいく。伝染病なのか、それとも飲料水に毒でも投げ込まれたのか? マコーマックらしさ全開の不気味な奇想小説。巻末に柴田元幸氏のエッセー「座りの悪さのよさ」を再録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tokko

12
読者は見習い記者のマックスウェルと同じ視点で情報を獲得していく。しかしその情報が、あまりにもお誂え向きで一つの事実へと向かっていくのだが…。喋り続けて死にいたる病気、というのが曲者で、彼らは真実を話しているのだろうか。エーケンの手記や告白、カークの手紙すら疑わしくどれを信じたらいいのかわからない。そもそも真実なるものが、本当に存在しているのだろうか。次第に街の人々の言う「真実を語ることができるのは、あなたがあまりよく知らない時だけ」という言葉が、謎めいた箴言から具体的な警告として機能し始める。必読書です。2024/03/24

ゆう

11
「不可能ゆえに確かなり」言い換えれば「可能ゆえに不確かなり」 実際はどの町でも同じことなのだろうが、複数の可能性があって正体を捉えられない町の風景が、常に雨が降ったり霧が丘から流れ込んでくる陰鬱なものだったので不確実性を視覚的にもよく表していて効果的だったと思う。何とも言えない読後感……瞑想後のような、寝起きのような。作者の姿勢は、推理小説とは異なり人の行動には確実な動機がなく、事件はきれいに解決できるものではないというものなので、より現実味のある不確実な世の中を描写している感じがする。2023/12/30

Porco

9
閉鎖的な町に突如として現れた水文学者(is何?)を名乗る男の来訪から始まり、怒涛のように町を襲う災禍。しかし実は町には陰惨な歴史があり、災禍の謎を追うにつれ町の歴史の謎が...というミステリっぽい導入なものの、その想定が吹っ飛ぶ不条理劇。第五章を読み終えた後は形の見えないふわふわした「結局どういう話だったんだ?」という疑問と後引く座りの悪い謎が残った。 (1/2)2024/01/13

mameta_vista

3
★★★★☆2024/01/07

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