内容説明
メイドは玉の輿に乗れるのか?
19世紀イギリスのミリオンセラー『ビートン夫人の家政書』によると、社交界では家庭の主婦が集まれば使用人の愚痴に夢中になったという。では、それはどんな愚痴だったのか?
本書では、伝統的な使用人がどのように文学作品に表われているかを考察しつつ、使用人についての記録やハンドブックなどを参照して、イギリス文化と文学における使用人のイメージとその実態(と、愚痴の生まれる社会的背景)を比較分析する。
下男の章で、ディケンズ『荒涼館』に登場する刑事が、屋敷の下男に対する聞き込みの際に、「下男にとって理想的な出世コース」をたどった父親の話をして親近感を抱かせる話が紹介されるが、Uブックス化にあたって新たに追加された「『使用人』ではない被雇用者たち」の章では、オースティン『自負と偏見』で、ウィカムがリジーに対して父親のまさに同じような話をして取り入るくだりが解説され、興味深い。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
37
使用人記録やハンドブックなどを参照して、伝統的な使用人がどのように文学作品に表われているかを考察しつつ、イギリス文化と文学における使用人のイメージと実態を比較分析する一冊。社交界では淑女たちが夢中になった使用人に対する愚痴。執事やハウスキーパー、料理人、メイド、従僕と下男、乳母といった役割がどんな立ち位置だったのか、当時の時代背景も絡めながら解説していて、下男は身長や見栄えの良さが思っていた以上に重要だったこと、男どもの誘惑が多いメイドの立ち回りの重要性など、いろいろ大変だなと感じつつ興味深く読めました。2023/09/25
サトー
0
階級の話だった。2023/12/14