内容説明
出来事=偶然の超短篇
「ある日のこと、オルロフはえんどう豆のピュレをいやというほど食べて死んだ。クルィロフはそのことを知って、やはり死んだ。スピリドノフは勝手に死んだ」
(「出来事(ケース)」より)
長くソ連では当局に禁止されていたものの、いまやロシアはもとより、欧米諸国でカルト的な人気を集めているダニイル・ハルムス。ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスは、そのミニマルな文体、意味と無意味の戯れ、ユーモアと不条理で、「ロシア文学」のイメージを颯爽と覆す。
代表作である生前未刊行の短篇集『出来事(ケース)』と、訳者がセレクトした短篇38篇からなる旧版に、新たに訳出した10篇〈アンコール・ハルムス〉を加えた増補版として待望の復刊。岸本佐知子氏推薦!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
41
『ハルムスの世界』を読んだ。 表紙の絵が素晴らしいのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 岸本佐知子が帯を書いてるのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 「海外小説 永遠の本棚」の一冊なのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 そこでは、「ハルムスを読んだ世界」と「世界を読んだハルムス」が追いかけっこをしていた。 「世界」が勝って、「ハルムス」はつかまった。 ハルムスは出張に出かけた。 だから、当分帰らない。2023/09/12
のりまき
27
短くてナンセンスで気持ち悪かったり、笑ったり。面白いなあと思っていると合間の解説でハルムスがどれたけ過酷な状況で静かに抵抗していたか知る。彼の最期を思うと苦しくなる。『レジ係』『インクを買おうとしたおばあちゃんの話』が好き。2024/04/15
花林糖
17
想像の斜め上、シュールでブラック、不条理な世界。短編も良いけれど数行の「寓話」「落ちていく老婆たち」が特にお気に入り。合間に挿入されている5つのコラムも◎。ダニイル・ハルムス(1905-1942)ペテルブルグ生まれ。アヴァンギャルドを代表する作家。不条理文学の先駆者。スターリン政権下でアヴァンギャルド芸術が弾圧。1931年に逮捕1年間の流刑生活。1941年再逮捕。翌年刑務所で死去。ハルムス作品はソ連ではペレストレイカ期に解禁されるまで禁止されていた。 2023/09/22
アヴォカド
13
不条理以上。何本か読んだことがあるような気がしたが、かつてモンキービジネスに掲載されたものもあるのね。2023/09/12
まこ
12
同じような言い回しや展開が繰り返され、時には死亡沙汰の大怪我をする登場人物たち。時折挟まれる解説と照らし合わせて読むと、起こった事を忘れさせようとしているソ連政府に対する批判がそれとなく紛れ込んでいた。笑える箇所もよく考えてみたら笑えない。子ども向けと思わせて、大人じゃないと意味の気付かない話ってある2024/05/26
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