内容説明
出来事=偶然の超短篇
「ある日のこと、オルロフはえんどう豆のピュレをいやというほど食べて死んだ。クルィロフはそのことを知って、やはり死んだ。スピリドノフは勝手に死んだ」
(「出来事(ケース)」より)
長くソ連では当局に禁止されていたものの、いまやロシアはもとより、欧米諸国でカルト的な人気を集めているダニイル・ハルムス。ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスは、そのミニマルな文体、意味と無意味の戯れ、ユーモアと不条理で、「ロシア文学」のイメージを颯爽と覆す。
代表作である生前未刊行の短篇集『出来事(ケース)』と、訳者がセレクトした短篇38篇からなる旧版に、新たに訳出した10篇〈アンコール・ハルムス〉を加えた増補版として待望の復刊。岸本佐知子氏推薦!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
41
『ハルムスの世界』を読んだ。 表紙の絵が素晴らしいのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 岸本佐知子が帯を書いてるのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 「海外小説 永遠の本棚」の一冊なのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 そこでは、「ハルムスを読んだ世界」と「世界を読んだハルムス」が追いかけっこをしていた。 「世界」が勝って、「ハルムス」はつかまった。 ハルムスは出張に出かけた。 だから、当分帰らない。2023/09/12
Koichiro Minematsu
36
ハルムス的不条理のオンパレード! それでも笑い飛ばそうとする極限な生きる力。 今の私たちにはその力はない。 スターリン下のソ連に戻ろうとするのか、ロシア政府こそハルムスを見よ! そんな感情を抱いてしまう。2026/01/08
でっこいみちゃぴん
32
わけのわからないショートショート。 この作品群が書かれた時代背景を意識して読むことが重要だと思う。スターリン政権下で、表現者は弾圧され、詩なんかは暗記するしかなかったそうだ。ハルムスも作家活動を妨害され、このような暗喩に満ちた不条理文章しか書けなかったのだろう。現代日本人の私には読み取れないものを、当時のロシア人はハルムス作品から読み取っていたのだと思う。ハルムスは最期は連行されたまま還らなかったそうだ。2024/06/28
花林糖
17
想像の斜め上、シュールでブラック、不条理な世界。短編も良いけれど数行の「寓話」「落ちていく老婆たち」が特にお気に入り。合間に挿入されている5つのコラムも◎。ダニイル・ハルムス(1905-1942)ペテルブルグ生まれ。アヴァンギャルドを代表する作家。不条理文学の先駆者。スターリン政権下でアヴァンギャルド芸術が弾圧。1931年に逮捕1年間の流刑生活。1941年再逮捕。翌年刑務所で死去。ハルムス作品はソ連ではペレストレイカ期に解禁されるまで禁止されていた。 2023/09/22
あむちむ
13
こんな本は初めて。 皆に愛されるのも分かる。 マンガの「ふうらい姉妹」「チャチャ・チャー子」のようなとんでも分からなさ。 「これは頭の中の考えをそのまま出しちゃったやつ!」とか、「うん、それで?そっからが知りたいのよ。」とツッコミが止まらない。 文章は優しい言葉で、読み易いです。 ハルムスに出会えた事に感謝。 途中の解説も、ハルムス初心者には大変有難く、理解するのに役立ちました。 中2の娘も気に入って、ハルムス風の文章を書いて楽しんでいます。 誰でも書けそうで、その匙加減が難しいんだろうなと感じました。2024/10/07




