内容説明
女子にまつわるさまざまな視点から映画作品を読み解き、描かれる女性たちの喜びや性、あるいは生きづらさ、自意識との葛藤、孤独、恋愛の苦しみといった心情を浮かび上がらせる。当社Web連載に5本の書き下ろしと映画解説を加えた決定版。
目次
まえがき
第1章 〈女子〉と映画
第2章 文化系女子の自意識
第3章 メンヘル系女子たち
第4章 「セックス恐怖症」の女子たち
第5章 文化系女子の恋愛事情
第6章 働く文化系女子
第7章 それで、そのとき文化系男子は何しているの?
第8章 文化系女子とセックス
第9章 文化系女子、独身か、結婚か、――出産か
第10章 いじめに対抗しろ! 女子の闘い方
第11章 文化系男子が思いどおりに動いてくれない
第12章 取り憑く女たち
第13章 淪落する女たち
第14章 満足できない女たち
第15章 ガールズ・コメディー・ムービー!!
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
28
再読。文章が洒脱で読ませる。切実に文化系女子と向き合い、彼女たちが立ち向かう問題を考察していることが伺える。その生真面目さを買いたい。それ故の余裕のなさというか、息苦しさが感じられるのも難ではあるが(つまり、読んでいてこちらも苦しくなる類の本だということ)……。後の真魚八重子の本と比べると荒削りではあるが、そのレアさも味と感じられるから不思議だ。本当に色んな映画を観ていて、それらを血肉化させていると唸らされる。さぞかし生きづらい人なのだろうな、と思う。失礼ながら、その苦しみがそのまま映画鑑賞に繋がったのか2019/04/05
踊る猫
19
例に依ってスジの話が目立つ。ショットの美しさについてはさほど語られない。そのあたり私自身の映画の観方と重なるところがあるので(私も映画を観る際にスジの話しか出来ない)、共感するところが多々あると同時に、もっとロメールならロメールの映像の魅力を語れたのではないかと歯がゆく思うこともまた確か。ただ、映画に対する愛情はイヤミなく伝わって来る。映画が抗鬱剤のように必要不可欠な方なのではないか……と書くと失礼か。後の著作ほどテーマを深く突っ込んで考察していない弱みはあれど、良く言えば軽く読めるし口当たりは良い一冊だ2017/07/01
Schunag
15
『アダムス・ファミリー2』の痛快や、『プラダを着た悪魔』ラストの壮絶なガッカリ感について語ってくれたというだけで個人的に非常にうれしかったのです。「映画系女子」ということに意識的に立脚した一冊なわけですが、自意識のこじれという一点で性差を超えて刺さってくる瞬間があちこちにあるので、「女子的なものについて『理解できる』と男が言うのは僭越だし無意識な鈍感さの表われなんでは」とか思って遠慮しがちな文化系男子も普通に読んで楽しめると思います。2014/12/21
fukumasagami
11
傷つく人が少なくてすむように祈っても、悲しいけれど、多くの女性たちが暗い海の波打ち際まで行って、打ち寄せる執着の波にさらわれそうになる。恋愛で傷つく心を知っている女性は美しい。でも、沖に行けば浜辺に戻るのは難しくなるから、それ以上自分を失わないために、足を取られないように心を静めて、後ずさりして戻ってくるしかない。それができるならば。2015/02/07
nizimasu
9
いわゆる映画ライターや評論家の男性は自虐的に自分のボンクラぶりや心情を映画と重ね合わせてみることが多いけど、このライターさんも自分の経験と映画のストーリーを結びつけて、女性のライフスタイルや生き方の逡巡や幸福のありようについて、論じていて表紙のイメージよりもかなり硬派に感じた。ここまで書くかという肚のくくり方も含め個人的には非常に共感できる著者さん。ゆえにこの本で取り上げられる作品も興味深いものが多い。なぜか、500日のサマーってなんでこんなに評価されているのかというのも含め、わかりやすいのも良い2015/04/21
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