内容説明
飛行機にしのびこみ、ロンドンへの密航を試みた外国人は、過去26年間で13人。いまやロンドン住民の40パーセント以上が外国生まれだ。そのひとり、通算30年のロンドン暮らしになった著者の目から見たロンドンの実像とは? 学校で露骨に現れる人種差別と、それに抗する人たち。両親にだまされてロンドンへ移住したアメリカ人、中国人。日本人を憎み続けるイギリス人。移民、人種や階級差別、貧富の差……。さまざまな問題を抱えながら、世界から人を集め続けるロンドンの実像を描く。
目次
遠来の旅人
そもそもの始まり
人種差別
ロンドンの変貌
リトル・ドラマーの指導
大地震以降
小学校の風景
ハリウッドからロンドンへ
お辞儀とアペリティフ
愛犬国家
私立校・公立校
ロンドンの日本
ドイツから来た娘
日本を憎んだ人たち
オリヴァーの脱出
エリザベス女王在位七十周年
階級について
食事の意味
空から落ちてきた人たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
115
やはりロンドンの話題と言えば、あのまずいと言われる食事のことになるでしょう。その落とし所を会話に持っていくのは面白い視点。ロンドンに居を構え、子どもを私立小学から就職まで育てた著者からの目線は、単なる旅行者とはまるで違い、ロンドンの風景が違って見える。ロンドンでの日本の百貨店の盛衰や私立校と公立校の格差、社会にある階級について、愛犬国家イギリス、人種差別について、対日戦勝記念日のこと、そして最後に空から落ちてきた人たちの物語に至るまで、ロンドンの社会を生きる日本人のエッセイで、興味深く読み終えました。2024/03/03
たま
73
ご感想によれば日本エッセイストクラブ賞受賞作らしい。そうとは知らず図書館の新着棚で出会った本で、ゆとりある目線でロンドンでの日常を綴り面白かった。日本でも犬に散歩をさせていると他の犬の飼い主と知り合うが、著者の散歩界隈では5~60人の愛犬家がワッツアップでネットワークを作っている、コロナのロックダウン時もやはりワッツアップでお年寄りの買い物を助けた、エリザベス女王在位70年では16000以上のストリートパーティ(道路を封鎖し近隣の人が食べ物を持ち寄る)が催された、などコミュニティを作る力に感心した※。 2024/11/22
TATA
43
おー英国在住30年の経験からロンドン住まいのあれこれを語る。なんか色々わかるところもあって読んでて楽しい。お子さんの学校の話とか多くって、お住まいはリッチモンド、なるほどいいところに住んでらっしゃる。英国のアレコレだとブレイディみかこさんと比べてしまうけど、あちらは地べた、こちらはハイソというところでしょうか。ということでどっちがどうとではなく、双方読み比べるのが良いと思います、はい。2023/11/29
りらこ
33
目線があう文章というのだろうか、高いところから述べているわけでもなく変に遜って書くわけでもなく、生活者の目線として、ロンドン(英国)の姿を書いた本。最初のエピソードは衝撃的。そしてそれが巻末できちんと回収されていて、しかも極めて英国的というのか、コミュニティや人を大切にするってこういうことなんだなと考えさせられる話。なに?って。それは…ネタバレになるからやめておきましょう。じっくり読んで、同時期にブレイディさんの本も読み合わせると、立体的に浮かび上がってなお面白く読めた。2023/09/28
K1
20
在住者の4割以上が外国生まれ。著者も通算30年のロンドン在住者。階級差別、戦争の傷跡、王室、食事などを切り口に語られるロンドンの今が詰まっています。2023/10/27
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