内容説明
近年増加している集中豪雨や台風による水害……。そこで、水害が多い全国の土地を、地名ハンターの著者が自ら現地調査! 水と闘いながらも、水と共生してきた当時の人々の姿を追うことで、その地名の本当の由来を探ります。本書を通じて防災意識を高めることで、今後、災害が起こった時に被害を最小限に抑えることができるはず……。そのような信念のもと、後世に伝えたい地名の話を一冊にまとめました。
目次
第一章 東京・関東地方を襲った水害と地名
第二章 名古屋・中部地方を襲った水害と地名
第三章 大阪・関西地方を襲った水害と地名
第四章 北日本を襲った水害と地名
第五章 信越地方を襲った水害と地名
第六章 中国・四国地方を襲った水害と地名
第七章 九州地方を襲った水害と地名
第八章 こんな地名に要注意!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
112
日本人は水害と共に生きてきた証が、各地の地名には深く刻まれている。千葉の流山市は山が流れるほどの洪水が起きたからで、戦跡地の長久手とは湿田の意味で、千曲川、球磨川の「クマ」は洪水を起こす曲がりくねった暴れ川を意味した。それでも住まねばならなかった人びとは、水害と闘った記憶と警告の意を込めた地名をつけたのだ。こうした命名は世界でも山がちで急流の川が多い日本だからこそだが、漢字表記や地名の変更で忘れ去られつつある。集中豪雨など異常気象が頻発する昨今だからこそ、改めて先人の知恵に学ぶ必要があると著者は警告する。2024/02/04
活字スキー
16
日本全国津々浦々の地名にまつわる調査を続けてきた著者が、今回は日本各地の水にまつわる地名を紹介。単純に雑学として地名の由来を追うだけでも面白いし、近頃は毎年のように発生する豪雨災害に対する意識を高めるのにも役立つ。字面からして分かりやすいものもあれば、市区町村の合併などで元々の地域との関連が薄れたものや、後付けの当て字であったりネガティブイメージを嫌って表記が変更されたものも少なくない。 2025/04/04
羊山羊
14
「地名ハンター」を称する著者がかつて水害のあった場所とその地名の由来から水害の危険性とその歴史をつなげて読みぬくコラム集。コラム集ゆえ、一つ一つは短くてちょっと惜しい。民間伝承+科学的考察や水害の検証となると、本来もっと話が膨らまないかなーと思っちゃったり。一方、日本全国の水害地名のパターンがまぁまぁ紹介されているので、そのパターンを読者自身の地元に当てはめて検証する楽しさは中々の物。→ 2023/10/06
Aby
7
2018年の「西日本豪雨」で注目された「水害と地名」.北海道から九州まで,日本各地の水害と関連付けられる地名を解説.ここもあちらも,そうだったのか! 日本は雨と急流の多い国.水害の記憶は残しておきたい.■愛知・岐阜の輪中地帯は,水害とともに人が生きてきた場所.逃げてばかりではない.2023/11/28
Asakura Arata
6
水害地名にもかかわらずそこで生活している人は、そこで生活する事情があるのだということがわかった。それよりも、商売目的で、警告の意味で名付けられた元々の地名を耳障りの良い地名に変えてしまうことの方が罪が深いと思う。 ALSの著者が全霊を傾けて作り上げた本をありがたく読んで勇気が湧いた。2023/11/16