講談社学術文庫<br> 知性改善論

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講談社学術文庫
知性改善論

  • ISBN:9784065342763

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内容説明

本書は、主著『エチカ』で知られるバールーフ・デ・スピノザ(1632-77年)がその執筆活動の初期に残した代表作の一つです。
従来『神、人間および人間の幸福にかんする短論文』が最も早い著作と考えられてきました。しかし、近年の研究では本書『知性改善論』こそ、1656年後半から61年前半に書かれた最初期の論考である、という説が有力になりつつあります。アムステルダムにユダヤ人として生まれ、ユダヤの教育を受けたものの、1656年には破門されるに至ったスピノザが、デカルトやベーコンの哲学を会得した上で、「神」について、無限なる属性としての思考と延長について独自の見解を紡ぎ、語り始めた、画期となる著作です。
精神と全自然との合一の認識、永遠無限なるものへの愛、揺るぎない幸福の追求など、本書には『エチカ』のモチーフをはっきり見て取ることができます。おそらくは時間のなさゆえに本書は未完のまま放置されましたが、しかしその哲学は『エチカ』に引き継がれ、さらなる発展と深化を遂げていくことになります。その意味で、本書はスピノザが「哲学者」になる過程を記録した生々しいドキュメントであるとともに、著者自身による最良の『エチカ』入門でもあると言えるでしょう。
『知性改善論』については、長らく畠中尚志訳(1931年、改訳1968年)が読み継がれてきました。本書は、気鋭の研究者が最新の研究成果を取り込みつつ、充実した訳注とともに「今日の日本語」でスピノザを読めるようにと全力で完成させた待望の新訳です。

[本書の内容]
読者に告ぐ

〔導 入〕
〔方法の規定〕
〔方法の第一部〕
〔方法の第二部〕

訳 注
文献一覧
訳者解説

目次

読者に告ぐ
〔導 入〕
〔方法の規定〕
〔方法の第一部〕
〔方法の第二部〕
訳 注
文献一覧
訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

paluko

4
「とりわけ、金銭の獲得や快楽、また名誉が害悪をおよぼすのは、それらがそれ自体のために求められる場合にかぎってのことであって、他のことがらへの手段として求められる場合には害悪とはならない」(17頁)少しでも理解できるような気がするのは21頁までの[導入]部分で、その後は正直お手上げです。数学の論証に似た手法を使っていることはわかるのですが…。したがって自分の知性はあまり改善されませんでしたが時にこのような書物に触れることは必要かなと感じました。2024/02/04

りんふぁ

1
難しくてよく分からなかった。またチャレンジしよう。2024/03/23

遊動する旧石器人

1
2023年12月7日第1刷発行。とても切れ味の良い1冊。物事の本質を知り得てしまったら、もう二度と知らなかった時の状態には戻れない。だから、物事の本質に無知な人でなければ言えない虚構の世界があり、無知と無知の相互作用によって大きな虚像が創られ、騙される人も生まれる。虚言渦めくSNSの時代の今について、このようにスピノザは高みから言ってる気がした。やはり、物事の本質を知り得た人と知らない人では、発言の意味することが大きく異なり、インフルエンサーの発言を鵜呑みにし、それを基に発言するのは、虚な支柱しかない。2024/01/26

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