幻日/木山の話

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幻日/木山の話

  • 著者名:沼田真佑【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 講談社(2023/12発売)
  • 夏を先取り!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~6/29)
  • ポイント 540pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065339121

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内容説明

コロナ禍を含め、4年の歳月をかけ書き継がれた、オーガニックな魅力の連作小説「木山」の話。自然のまま、言葉の流れるまま、音楽に身を任せるように、耽溺し没入する小説体験。自然への、生命への、名もなき人への「眼差し」。人と動植物、水と土と空気、社会が影響し合って成り立つこの世界を生き、過ぎ行く時間をそのままに描き出す。
「早春」「入船」「遡」「ブラスト」「日なた」「朝霧の」「カタリナ」「ながれも」計八本収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夢追人009

217
芥川賞受賞作「影裏」から6年をかけて完成させられたという全8編の連作短編小説集で東北に住む作家「木山」氏が帰郷と東京を行き来し現在と過去の回想を交えて現実と空想が混在する私小説風の物語です。まあ、とりとめのないストーリーですのでオチや結論にこだわらずに自由に断片的な著者の独特な文体を味わう読み方をする読み方がいいと思いますね。私が一つ心に残った記述は「真夏・真冬」とは言うけれど「真春・真秋」とは言わないという事実で、目から鱗の思いで、そう言えばそうだよなあと改めて気付きましたね。#NetGalleyJP 2024/01/03

coolgang1957

54
編集:さっぱり理解が追いつかない。妙にアクティブな文学者の懊悩でしょうか、歩いて行くだけで妄想が湧き出てくる話についてかされたのかなぁ。そのくせ人との交わりは雑多、いやこれは思い込みか、こっちまで瘴気に連れ込まれる気がする。芥川賞から6年経っての受賞後初作品と帯にあるからそう思うだけかも。この人たちって鬱になる運命かと中学生時代に北杜夫さん読んでた頃はそんなこと思ったな、意味も知らずに。あ、この本は〝木山〟の話で沼田さんの話ではないか、なんか混同するな😅2024/02/08

ゆのん

51
作家である木山が静かに淡々と語る私小説の様な形式の8編から成る連作短編集。木山の気鬱による幻だったり、幻聴であったり、また実際に見聞きする事柄が木山の中で彼独特の変換がされて語られる内容はとても興味深く、何故か違和感なくこちらの内にも流れてくるという不思議な読書となった。気鬱による幻や幻聴は現実ではないが、実際に木山が体験しているという意味ではやはり現実なんだろう。全てを肥やしに物語を紡ぐ事で自分自身や世の中との折り合いをつけている様に感じた。読みやすく興味深い作品だった。2024/01/06

練りようかん

13
八つの連作。木山が意識する人生の折り返し地点。寂しさ悲しみ、命が消えゆくこと。陽が闌けて人家の屋根と自然が一つの連なりに、単色に見えるという描写が沁み入った。強い言葉は使っていないのだけど重量があり、まるで水を含んだ葉の繁る枝のよう。木山のフィルターを通して見る世界はくすんでいて、それでいて透明感を思わせる文体。小旅行や都内での出来事は思いがけないことに溢れ、実体の実態と現実感の浮遊に人生は幻の日の連続だとふと思った。音に視線を導かれ、上から下に移動、その底に現れる漠を受け容れる流れがとても素敵だった。2024/03/13

ハルト

10
読了:◯ とりとめもなく淡々と続く日々。物書きの淡白な日常は、どこか立ち上る幻のようでもある。日常的でありながら、日常とは乖離もしている。生々しい生の在り方も、濾したように薄く、砂絵のようにさらさらと手から溢れていってしまう。人との交わりは主人公にとって非日常で、ゆるやかに時は流れ、非日常は影を薄めながら、残像のように小説に残る。一歩歩くごとに孤独に触れ慣れ、主人公の世界は幻へと近づいてゆく。情景の描き方が好きだなと思った。2024/03/08

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