内容説明
人間は「ホラーなチューブ」?「生きもの殺し装置」?「食べる」を深く考えれば考えるほど、「人間とはなにか」が見えてくる。京大のフジハラ先生と12歳~18歳の中高生による、白熱の「食と農の哲学」ゼミナール。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
82
タネの未来の作中紹介、他館図書館本 日本の軍事戦略は食料補給を重要視していない、そのせいで…(汗)なことは知っていましたが飢えから歴史を見るというのはありそうでなかった発想。ではなぜ日本の上層部は食を軽視する傾向があるのだろう?今のところ分からないのでさらに考えていきながら書籍も読み漁りたい。 一番おいしかったものに関わるもので人やシチュエーションの繋がりが大きいというのもよくわかる。人と動物の食の違いと絡めてやはり動物や植物もエサや水を特定の誰かに貰いたいというのはあるのかも?と考えてしまう。2022/10/06
けんとまん1007
45
哲学書だ、これは。「食べる」をキーワードにした三つ問い。12~18歳の子どもたちと藤原先生とのワークショップ。やはり、子どもは哲学者だ。自分なりの言語化を考えながら読んだ。家庭菜園ではあるが、自分の手で作ってもいるので、感じ方が拡がる。衣食住の中の食、文化とは、人と動物、欲求・・・尽きない言葉。自分で考え、言語化すること、哲学。そして、問いの大切さがハッキリとわかる。2021/01/16
かんやん
33
今まで食べた中で1番おいしかったものは? 農業史家が8人の小〜高校生と「食べること」について語り合う。普段の当たり前すぎて問うてこなかったことを、改めて思索の俎上に載せることで見えてくるものは? たしかに哲学者は食について考えることを疎かにしてきたように思われるし、小説家だってグルメレポート以上ものは少ないのかもしれない。自分のような工業品のような食品ばかり食ってる人間は、反省させられることしきり。とくに知見は深まらないし、『もの食う人々』のようなインパクトはなかったけれど、考えるキッカケになれば。2024/03/09
さとちゃん
11
「今まで食べたなかで一番おいしかったものは?」の問いから始まる食と農のゼミナール。藤原先生の問いの立て方と進行がうまいのもあるだろうけれど、参加している子供たちの考え方、表現の仕方にびっくり。子供の考える力、表現する力、は大人がきちんと伸ばしていけばどこまでも伸びるのではないだろうか。あ、私の一番おいしかったものは、一ヶ月の自動車運転免許合宿あけ、実家に帰って食べた、母の味噌汁です。それまで3年間は寮生活、1年間は自炊生活だったのに、この時の味噌汁は殊の外おいしかったんだよなぁ。2022/07/07
comet
11
食事の楽しみもさることながら、自分の人生において食べるということは、自分の枠いっぱいに大きくて重要だと感じていた。本書を読んで、逆に、食べることはこの世界の中で、私の身体を通過するだけのほんの一部だと気付く。自然や生命に対する見方に、ゆさぶられるような影響を受けた。これは人生観が変わる程のものなのでは。2020/08/12