内容説明
2022年7月、都内の病院で死去した女優・島田陽子さんの遺体の引き取り手はなく、居住区だった東京都渋谷区が引き取り火葬した。21年度、自治体が遺体を葬ったケースは約8600件に上る。高齢化と孤立化で「無縁遺骨」になる可能性は誰にでもある。その実態と墓じまいの現状を追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
106
読んでいるうちに憂鬱になった。人間死んでもいろんな手続きの煩雑さ、残された人たちはその対応にあちこち動かなければならない。そしてなんといっても金銭的な問題。仮に死んでそのまま火葬してもらってもかなりの金額になる。それが残された人に重くのしかかる。それが家族も親戚もいない場合・・・20年くらい前と比較すると65歳以上の一人所帯が倍近くになっているという。これから増えるのは当然だろう。大学病院への献体の申し込みも増えているという。孤独死に無縁仏、他人事ではなくなってきた・・・図書館本2024/08/14
モルク
102
核家族が進み世代も高齢化。子供で賑わっていた団地も限界住宅に、親戚近所付き合いも疎遠となり…一人暮らしの老人が増え人知れず孤独死そして遺骨の引き取り手もいない。無縁の遺骨はどうなるのか。また事件性はなくとも死後に発見された異状死では検死解剖で金額に地域差がある。また身よりなし高齢者支援の問題など多くを知ることができた。そんな中皇室ジャーナリスト渡邉みどりさんの話はショックだった。長い期間かけて終活をしたにも関わらず身寄りがないだけで様々な壁に阻まれる、こんなにも大変なのか、不条理も多く暗くなる。2024/08/23
どんぐり
90
身元が判明していても引き取り手のない遺骨が増加する日本社会の現状を描いた「無縁遺骨」のルポ。2018年から3年半の調査で約10万5千人が無縁遺骨となっている。多死社会になって、年々その数が増えている。女優の島田陽子も引き取り手のない無縁遺骨となって、一時話題になった。大阪市では9人に1人が無縁遺骨となり、携帯電話の普及と符合する(携帯電話のロックもあって遺族特定をより困難にしている)という。前に『ある行旅死亡人の物語』を読んで、亡くなって身元がわからない人がいることに驚きを感じたが、この無縁遺骨も驚き。→2025/08/07
ナミのママ
78
現実から目を背けてはいけないとはいえ、年末に暗澹たる思いになる作品だった。女優島田陽子さんが病院で1人で亡くなった。遺体の引き取り手がなく自治体により荼毘された。病と闘いながら撮影に挑んだが亡くなる直前は経済的に困窮していたという。無法地帯化する無縁墓、遺骨を引き取った遺族が亡くなり遺骨がニ柱。現状と、自治体の苦悩や国への働きかけなど現時点での動きが書かれている。核家族化は高齢者にも子育て世代にも自由で幸せをもたらしているのだろうか?年の瀬に考えさせられる。2023/12/28
fwhd8325
76
長寿、高齢化は喜ばしいことかもしれないが、一方で想定していなかった数々の問題が生じています。昔のような家族のかたちは消滅し、果たして、この先どうなるのだろうと不安に駆られることもあります。この著書にありますが、遺骨をパウダー化して合祀するのであれば、最初からそれでもいいのではないだろうか。遺骨として残さなければいけない理由が私にはわかりません。2024/03/31
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