内容説明
2022年7月、都内の病院で死去した女優・島田陽子さんの遺体の引き取り手はなく、居住区だった東京都渋谷区が引き取り火葬した。21年度、自治体が遺体を葬ったケースは約8600件に上る。高齢化と孤立化で「無縁遺骨」になる可能性は誰にでもある。その実態と墓じまいの現状を追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
75
現実から目を背けてはいけないとはいえ、年末に暗澹たる思いになる作品だった。女優島田陽子さんが病院で1人で亡くなった。遺体の引き取り手がなく自治体により荼毘された。病と闘いながら撮影に挑んだが亡くなる直前は経済的に困窮していたという。無法地帯化する無縁墓、遺骨を引き取った遺族が亡くなり遺骨がニ柱。現状と、自治体の苦悩や国への働きかけなど現時点での動きが書かれている。核家族化は高齢者にも子育て世代にも自由で幸せをもたらしているのだろうか?年の瀬に考えさせられる。2023/12/28
fwhd8325
68
長寿、高齢化は喜ばしいことかもしれないが、一方で想定していなかった数々の問題が生じています。昔のような家族のかたちは消滅し、果たして、この先どうなるのだろうと不安に駆られることもあります。この著書にありますが、遺骨をパウダー化して合祀するのであれば、最初からそれでもいいのではないだろうか。遺骨として残さなければいけない理由が私にはわかりません。2024/03/31
ネギっ子gen
64
【この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫に鳥にも 我はなりなむ(大伴旅人)】死は誰にも平等に訪れる。遺体となり火葬され骨と灰になるが、それを誰が拾い弔ってくれるのか? 専門家は警告する。「独身者や子どもがいない夫婦だけでなく、家族がいても親戚づきあいがなければ、最後に死んだ人は、無縁になる」と。女優・島田陽子が病死後に遺体の引き取り手がなく、自治体によって荼毘に付されたというニュースをきっかけに取材を開始し、その実態と墓仕舞いの現状を追った書。「あとがき」の、<無縁でも何とかなるさ>の感慨に同意する。⇒2024/03/24
栗羊羹
11
街の中を車で走っていると、いつこんなに葬祭会館が増えたのかと思う。孤独死、高齢者夫婦世帯の一方の死亡(認知症も絡んでくる)。無縁遺骨とは、必ずしも無縁な訳ではない。付き合いが無いとか、好き勝手なことをして何を今更と、引き取っていただけない仏様もいらっしゃる。自治体負担で火葬、納骨堂安置も財政面での負担が大きいらしい。それぞれの時代、それぞれの人に合った御弔いの方法ってなんだろう。難しい…2024/04/01
ochatomo
10
墓地埋葬法(市町村の立て替え)か、生活保護法(遺族以外が葬祭扶助を申請) 島田陽子さん、渡邉みどりさん、市原悦子さんほか取材した朝日新聞連載に加筆 大阪市は死亡者9人に1人の割合で無縁遺骨になっているそう 携帯電話普及で連絡先はロックされてわからない 『独身者や子どもがいない夫婦だけでなく、家族がいても親戚づきあいがなければ、最後に死んだ人は無縁になる』 預金は相続以外の引出し困難 2023刊2024/02/15