内容説明
DV(ドメスティック・バイオレンス)に代表される、暴力関係から逃れられないひとには、実際、何が起きているのか。問題系を前提とした〈当事者〉ではなく、特定の個人に注目した〈当人〉の語りから議論を始めたとき、〈第三者〉は、どのようにして応答することができるのか。本書は、「なぜ暴力関係から逃れられないのか」という問いへの通説的な見解に対して、再考を迫る。あるべきかたちに回収されない異なるエートスを探求する、刺激的な論考。 【目次】まえがき 親密な関係に生じる暴力を問う――〈当人〉と〈第三者〉のあいだの亀裂/第1章 なぜ暴力関係から逃れないのか【通説編】――専門家らによる見解/1 加害者から離れたがらない被害者たち/2 専門家らによる代表的な回答/第2章 なぜ暴力関係から逃れないのか【異端編】――語られる歪な愛/1 分離以外の解決策の必要性――「離れたくない」/2 〈当人〉の言葉の真正性――「私は相手のことをよく知っている」/3 依存がもたらす救済――「依存によって生きのびられる」/4 欲望される暴力や支配――「私はマゾヒストである」/第3章 分離とは異なる解決策――DVと修復的正義/1 加害者との関係性切断を拒絶する被害者/2 DVにおける修復的正義の実践「サークル・オブ・ピース」/3 DVに修復的正義を適用することへの批判/4 日本の現状と今後/第4章 暴力的な存在と社会的排除――トルーディ事件を考える/1 トルーディ事件/2 トルーディの真正性/第5章 生きのびるためのアディクション――自己治療・自傷・自殺/1 自己治療仮説/2 日本における「生きのびるためのアディクション」/3 見えなくなっていく死(者)/第6章 介入と治療からの自由/1 〈第三者〉にできること:ドラマ『ラスト・フレンズ』から考える/2 自傷他害とパターナリズム
目次
まえがき 親密な関係に生じる暴力を問う──〈当人〉と〈第三者〉のあいだの亀裂/第1章 なぜ暴力関係から逃れないのか【通説編】──専門家らによる見解/1 加害者から離れたがらない被害者たち/1‐1 DV加害者から離れない被害者たち/1‐2 親をかばう被虐待児たち/2 専門家らによる代表的な回答/2‐1 加害者の暴力によって無力化しているから/2‐2 加害者の「愛情」に固執しているから/2‐3 加害者に支配/洗脳されているから/2‐4 加害者に依存しているから/第2章 なぜ暴力関係から逃れないのか【異端編】──語られる歪な愛/1 分離以外の解決策の必要性──「離れたくない」/2 〈当人〉の言葉の真正性──「私は相手のことをよく知っている」/3 依存がもたらす救済──「依存によって生きのびられる」/4 欲望される暴力や支配──「私はマゾヒストである」/第3章 分離とは異なる解決策──DVと修復的正義/1 加害者との関係性切断を拒絶する被害者/1‐1 ノードロップ政策/1‐2 リンダ・ミルズによる問題提起/2 DVにおける修復的正義の実践「サークル・オブ・ピース」/3 DVに修復的正義を適用することへの批判/4 日本の現状と今後/第4章 暴力的な存在と社会的排除──トルーディ事件を考える/1 トルーディ事件/2 トルーディの真正性/2‐1 トルーディはどうして問題視されたのか/2‐2 トルーディ・シュトイアナーゲルの論文/2‐3 トルーディの声/第5章 生きのびるためのアディクション──自己治療・自傷・自殺/1 自己治療仮説/2 日本における「生きのびるためのアディクション」/3 見えなくなっていく死(者)/3‐1 死に至る自己治療/3‐2 医療や支援からの拒絶/3‐3 「生きのびる」ことに回収できない肯定性/3‐4 依存先が形成できないとき/第6章 介入と治療からの自由/1 〈第三者〉にできること──ドラマ『ラスト・フレンズ』から考える/1‐1 身近な他者としてどう関わるか/1‐2 公的支援の必要性と限界/2 自傷他害とパターナリズム/2‐1 適応的選好形成/2‐2 他害/2‐3 自傷/あとがき/参考文献/索引
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Bevel
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saiikitogohu