内容説明
地方創生やB級グルメなど地方を盛り上げようとする取り組みが盛んだ。だがなぜ地方の人たち、とりわけ中山間地の人たちばかりがんばらなくてはならないのか? 都市と農村の関係から、農業生産のあり方や流通、食べ方の変化に目を向けたとき、そこには都市を優先し合理性を重視する社会のシステムがあることが見えてくる。農村風景の変容も、このシステムとふかく結び付いている。農村風景を入り口に、食と農業のあり方から、都市と農村の幸せな関係を構想する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
51
とても興味深い内容。ちょうど、限界集落と言われている地域で草刈りをやった事と重なり、考えることも多い。農村らしい風景ということ自体、人それぞれであるが、その視点の違いが整理されていてナルホドと納得。国全体で人口減少の中、これまでの政策・指向・嗜好の在り方を問うている。最近、何かといわれるサステイナビリティ・ウェルビーイング自体もファッションに過ぎない部分・人たちが多いと思っていて、それを裏付けられた思いがある。「石が技術を選ぶ」という言葉。作られた地産地消ではないものがある。それが日々の暮らしであるべき。2024/07/06
うえぽん
48
石積み学校を運営する景観工学の専門家が、農村の風景を守り、各地域が環境に合った農業を行うことと、あるべき都市・農村関係を訴えた本。徳島とイタリアの農村での経験を基に、EUのCAPを参照しつつ、環境保全型農業への転換、環境の視点を入れた六次産業、土地と結びついた食・観光のあり方を探る。流通の大規模化や消費行動の変化が、産品の単一化や高級化を生んだ経緯も指摘。「風景をつくるごはん」を選択する行動変容のための認証制度や補助等を訴えるが、美味しさや儲けを超えて、その価値を浸透させることは一筋縄ではいかないだろう。2026/01/23
Koji Harasawa
5
景観工学の博士が、農村の景観を維持するのはごはんだと説く。一度私たちの町に来てくれた際に話を聞いて、首が折れるくらいにうなずき、得心したのを思い出しながら読んだ。食を通して消費者と農業者と政策はつながる。地域の景観と農業を持続可能なものにすることが自分の使命だと思っているので、引き続き学びながら実践していきたい。2025/06/04
ちや
5
風景をつくるごはんというタイトルがとても良い。関係性を作るには制度なり、システムを変える必要があり、そのためには私たち消費者が変わらなくてはいけない。2023/12/02
Humbaba
4
大手の流通に乗せることで、どこでも同じものを手にできるようになる。それは良いことである一方で、その地域の特徴を失わせてしまうことにもつながる。また、流通コストを考えてもマイナスはあり、消費者は不必要に高い価格を支払っているという面も存在している。その土地で作られたものを食べるというのが最もあるべき形であり、それによって見えてくるものは必ずある。全てを賄うのは無理だとしても、そのような心で動くことでよりよい社会が存続していける。2024/08/29




