内容説明
いろいろな人の人生に共感し応援する食を提案してきた自称「めし炊き」の著者が綴る18編のエッセイと30のレシピ。子ども食堂で子どもたちがつくった、具を先に炒めておくひき肉チャーハン。年末の炊き出し“大人食堂”に彩りを添えた炒めなます。子どもの頃に家族で囲む食卓で、父の酒肴から少しもらっていたレンコンのニンニク炒め。晩年にかつての家庭に帰りたがった認知症の父を思い出しながらつくる鶏胸肉の塩麹焼き……。自身の病とも向き合いながら、謙虚にたくましくご飯を食べて生きて行くすべての人に贈るエール。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よこたん
40
“私のこれからの使命は生きていく人を支える食べものを考え、〈飢えさせないこと〉かもしれない、と考えるようになってきた。” 作るのも食べるのも好きでワイワイにこにこ。西原理恵子さんとの共著で私が抱いていたそんなイメージより、もっと社会派だった。困窮のなかにいる外国籍の人も、子供をつれたお母さんも、若者も老夫婦もおばさんもおじさんも、みんなみんな食べて、生きて欲しい。そのために様々な活動されている。白和えの話が良かった。そして、コロナ陽性からの間質性肺炎で現在も闘病されていると知って、動揺してしまった。2023/11/15
tetsubun1000mg
21
西原理恵子さんと共著「おかん飯」シリーズなど読んで知っていたが、調理師学校やレストランで修業したのではないとは知らなかった。 劇団に入って新入りとして食事係をしたのがきっかけだったとは。 「おかん飯」など枝元さんの食エッセイは、他の料理研究家とは違って自由な感じがしてコメントもエッセイストのような印象が有ったのだがそんな理由かな。 ビッグイシューを応援したり、コロナ過で食べるのにも困った人たちに大量の炊き出しをしたりと行動派なんだね。 そんな枝元さんには応援してくれる農家や、食材生産者とも繋がっている。2023/12/07
ごへいもち
18
最近買うチャンスがないビッグイシューでよく目にしてお元気そうだったのに御病気で酸素吸入器を付けている状態とは。お大事に2023/11/11
kuukazoo
15
枝元さんは伊藤比呂美さんとの共著『なにたべた?』で知った。家に1冊ある料理本が20年以上前の『愛の元気食堂』というタイトルで、料理で愛と元気を与える、誰にでも開かれた場所というコンセプトなのだが、今も基本スタンスは変わらず「めしさえ炊ければなんとかなる」的な前向きさが魅力である。枝元さんに関する情報更新はわたしの中で10年以上止まっていたので様々な社会活動に携わっていることやご病気だったこともこの本で初めて知った。凹んでも素直に気持ちを紡ぎながら立ち直っていく姿は、深く根を張り日差しを喜ぶ木のようだった。2023/11/05
サラダボウル
10
枝元なほみさんの料理と彼女の雰囲気が好きで、こども達が小さい頃よく読んでいた。久しぶりにゆっくりと本書に触れて、あらためて、あの穏やかな笑顔の裡のパワーの大きさに驚いた。伊藤比呂美さんの文もよかった。枝元さんの"肉巻きおにぎり"が大好きだった次男は、峠の釜めしの釜で、自分でさっさとごはん炊く大学生に育ちました。と、お伝えしたい!