内容説明
紫式部が生きた時代の豪華絢爛宮中絵巻
日本初の女性による女性のための歴史物語『栄花物語』の作者である朝児(赤染衛門)からみた宮廷はどんな姿をしていたのか?
宮中きっての和歌の名手と言われる朝児(あさこ)は夫を亡くしたばかり。五十も半ばを過ぎて夫の菩提を弔いながら余生を過ごそうとしていたが、ひょんなことから三条天皇の中宮妍子の女房として再び宮仕えをすることになる。
宮中では政権を掌握した藤原道長と、あくまで親政を目指す三条天皇との間には緊張が入っていた。道長の娘の妍子が、将来天皇となるべき男児を出産することが、二人の関係に調和をもたらす道だった。しかし、女児が生まれたことで、道長は三条天皇の排除を推し進めていくことになる。
朝児は、目の前で繰り広げられるきらびやかながらも残酷な政争に心を痛める。なぜ人は栄華を目指すのか。いま自身が目にしていることを歴史として書き記すことが自らの役目ではないのか。そこで描かれるのは歴史の勝者ばかりではない。悲しみと苦しみのなかで敗れ去った者の姿を描かねばならない。その思いの中で朝児は筆を取る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
186
傍目には華やかな平安宮中絵巻の背後では、激烈な権力闘争が渦巻いていた。勝者が総取りし敗者は全てを失う残酷な政治の世界に巻き込まれた赤染衛門(朝児)は、栄華の頂点を極めつつある藤原道長が主役の物語ではなく、敗れ去ったり阿諛追従するしかない者の生き様を史書に残そうと願う。自らの娘すら権力の道具にする道長に対し、人らしい弱さや怒り故に没落した姿の涙を後世に残すのが、政治に関われない女の務めと覚悟したからだ。『栄花物語』を書くまでの朝児の成長ドラマと朝廷の群像劇が重なり、歴史の暗黒面を浮き彫りにする手腕が見事だ。2024/01/16
hiace9000
156
「心にもあらでうき世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな」 百人一首でも馴染みの歌が、帝の孤心苦衷の胸の内を吐露し苦吟されしものだったとは…。返歌として詠まれた古歌「…月ぞ長るる」は、新たな意で名場面を切り取り、鮮やかに浮かび上がらせる。赤染衛門が現世に転生したかのような、たおやかで力強く、細やかにしてしなやかな筆致は、読み手を丸ごと作品世界へ移遷させてくれるよう。"人間の世々の不変の営みと古しえより今日に至る歴史もすべて本の中にあるー" 朝児に仮託し書物を語るくだりに、今作の主題と作り手の矜持を観る。2024/03/16
榊原 香織
128
今の大河ドラマより15年後?位か。 初老の藤原道長や紫式部も出てくる。 ヤンキー的な若僧と彼を弟子として受け入れる学問の家大江家の未亡人。すこーし推理風の味付け。平安時代もの2024/08/20
ちょろこ
125
赤染衛門から見た宮中絵巻の一冊。三条天皇の中宮、姸子の女房として再び宮仕えをすることになった朝児(赤染衛門)の視点で、藤原道長vs三条天皇の政争、御簾の向こうの宮中絵巻を描いた物語。ほんのりミステリ要素を含みながらの惹きこまれ感は文句なしの味わい。帝の排斥しか頭にない道長の豪胆さのその裏で流される幾つもの涙は否応なしに胸を打つほど。それを目の当たりにした赤染衛門は何を感じ、自分はどうすべきか…逡巡しながら、物語の存在意義へと辿り着く描き方が良かった。板挟み、駒にされた女たちの哀しみあっての平安時代を実感。2024/04/17
fwhd8325
119
この作品の印税はすべて「能登地震」の義援金に寄付されると聞きました。澤田さんの作品は初めて読みましたが、とても中身が濃く読み応えがありました。普段、あまり読まない分野なので少し苦労しましたが、文章が奏でているようで、美しいものがりだと感じました。2024/06/01
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