内容説明
江戸の本所で「福助」という縄暖簾の見世を営む女将のおあきと弘蔵夫婦。心配の種は、武士に憧れ、職の落ち着かない息子、良助のことだった…。ついに、良助は上野の彰義隊の一員として上野の戦に加わるという。無事を祈るおあきたちだったが……。幕末の世、市井に生きる人情と人生を描いた長編時代小説が新装版にて登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y.yamabuki
19
縄暖簾の見世「福助」を営む家族と常連客という市井の人々の視点で明治維新前後を描いていて興味深い。この家族のあれこれの合間に世情を描く部分が差し挟まれる。女将のおあきと夫の元武士で今は岡っ引きの弘蔵、嫁にいく娘と夫、それに常連客達。皆良い人達なんだけれど、そこでその台詞と思ってしまうところが所々に…。物語全体としては面白く終盤息子を思う夫婦の気持ちが切ない。宇江佐さんの史実を基にした作品を読むのは二作目だが、市井ものの方が好み。何れにしても、もう新たな作品が読めないのが寂しい。2024/04/22
ごへいもち
10
一気読み。史実っぽいところは飛ばしました2024/03/29
ぷらった
1
14年前の再読。江戸から明治に移る混乱の時代に生きる庶民,武士の世界が綴られている。人々が懸命なだけに,ものがなしさも漂う秀作だと思う。2024/01/15