内容説明
発達障害は本当に「障害」なのか? 学校、会社や人間関係に困難を感じる人々の事例から、周囲が変わったことで「障害」でなくなったケースを紹介。当事者と家族の生きづらさをなくす新しい捉え方、接し方を探る。朝日新聞大反響連載を書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Asakura Arata
6
発達障害の特性を持つ方と接することは多いのだが、この人「障害」じゃないよなあと思うことがほとんど。特性というものは、いかに生かすことがナンボだと思うし。大体、利点になることもある障害特性って何よ。「〜症」もイマイチだし、ネーミング変えた方が良いよなあ。あとがきにも記してあったが、ある意味「同調圧力」でもあるよな。普通にしろとか、普通じゃないと変とか。 俳句のTV録画見ながらこれを打ち込んでいたら、山崎ナオコーラが出ていて、このサイトの検索候補に彼女のエッセイ「母ではなくて、親になる」がアップされている。2023/11/19
読書熊
6
障害と共に生きるとは、どういうことか。ヒントになる2023/11/18
ひつまぶし
5
大人の発達障害について、当事者による体験談や対処法の解説ではなく、医師による解説でもなく、第三者が取材して書いた本というのは珍しいのではないか。ニトリの社長の記事への反響から発達障害をテーマとした企画を立て、読者からの反応がまた連載の内容を豊かにしていったというのは新聞の可能性を感じさせる話でもあった。大人の発達障害について具体的な事例がもっと集積されていけば、どんどん理解も進むのではないか。発達障害を持つ人の家族の話もあり、相互行為を視野に入れて構成したところも本書の特長だと思う。文章も読みやすかった。2023/12/03
Carol
4
「『多数派こそが正しい』『すべての人が健常でいることを目指すべきだ』という同調圧力にはすさまじいものがあって、どれだけ私たちが自分で自分を肯定しようとしても、社会や会社が無意識に潰しにかかってくることがすごく多い」という発達障害当事者の元朝日新聞社員さんの言葉がすごく印象的だった。私は周りの人の感情は想像できるし、対応できていると思うけれど、それは「意識的に」しなければならず、すごく疲れる。できなくはないけれど、雑談はものすごくしんどい。しんどくても頑張るのは、やっぱり同調圧力があるからだと思った。2024/02/04
motoryou
4
「私たちは、つい、自分が『ふつう』で、それ以外の考え方や行動する人を『変』だと思いがちです。でも実際は、普通の人なんて存在しない。環境次第で、その特性は『強み』にもなれば、『障害』にもなります。」(あとがきより)。バリアフリー、インクルーシブ、の課題もやはり「対話」が鍵になる。お互いが、共にあろう、共に生きようと思っているか、そのための具体的な行動をとっているか。自分との「違い」が受け入れられるか、受け入れらないか。誰かだけが我慢を強いられるのでもない丁度いい塩梅を探せる関係性。対話、なんだと思うけれど。2023/12/19