岩波現代文庫<br> 人は愛するに足り,真心は信ずるに足る - アフガンとの約束

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岩波現代文庫
人は愛するに足り,真心は信ずるに足る - アフガンとの約束

  • 著者名:中村哲/澤地久枝
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 岩波書店(2023/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784006033286

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内容説明

一九八四年に医療援助活動を開始してから二〇一九年に凶弾に倒れるまで,戦乱と劣悪な自然環境に苦しむアフガンの地で,人々の命を救うべく身命を賭して活動を続けた中村哲医師.良き聞き手を得て,自らの個人史的背景とともに,熱い思いを語った肉声の記録,待望の文庫化.遺志を受け継ぐ現地スタッフのメッセージを収録.

目次

はじめに
Ⅰ 高山と虫に魅せられて
ペシャワールとの縁
二〇〇一年十月,衆議院
髭と帽子
伯父火野葦平
洗礼と論語素読
川筋の気質
家族に対する情
対人恐怖症
精神の転機
典型的な日本人主婦
宗教の「共通性」
Ⅱ アフガニスタン,命の水路
よみがえる大地
「時差」四時間半
マドラッサ
家 族
命の重さ
自爆テロ
後始末
流れ弾があたる
安全の限界
参議院,二〇〇八年十一月
Ⅲ パシュトゥンの村々
復讐の掟
「戦争」の名分
現地スタッフの変化
ただ一人残って
精神のよりどころ
丸腰の米兵が水路を掘れば
リウマチ熱,カイバル峠
Ⅳ やすらぎと喜び
日々の楽しみ
生きものたち
これからの見通し
「情を交わす」ハトの目
縁の下の力持ち
一人の父親
アフガンの再生
運命にみちびかれて
あとがき……………澤地久枝
あとがきに添えて……………中村 哲
岩波現代文庫版あとがき……………澤地久枝
[現地スタッフからの便り1] 中村先生の魂は我々と共に……………ジアウルラフマン
[現地スタッフからの便り2] ドクターサーブ中村の意志を継いで生きていきます……………ハッジデラワルハーン
付録……………中村医師関連著書等

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

76
自分の差別意識と偏見を目の前に突き付けられた気がした。アフガニスタンについて、私は何を知っていただろう。イスラム教国家だというだけで、劣った意識の人々の国とみなしてはいなかっただろうか。彼らには彼らの守るものがあり、矜持があるということまで踏みにじってはいなかったか。中村医師が命を賭してまで作りたかったものは何か。本当にはわかっていなかったと思う。同時に中村医師は生前にもっと評価されて然るべきだったとも思うが、彼が欲しかったのは名誉ではなく弱き者への理解だということも感じ取った。まっすぐに生きる難しさ。2022/02/05

さきん

38
親戚に共産党や社会運動家を持つ背景、キリスト教徒としての求道家として、息子を病気で失ったことのある父親としての一面など、用水路プロジェクトの本では知らなかった中村氏のパーソナリティを知ることができた。用水路開発、維持による、飢饉の減少、治安回復を期待したい。タリバンのコミュニティづくりが何とも日本の村づくりと似ている。都市部においては、逆にタリバンのルールを当てはめるに無理があるような気がする。近代法と習慣法の共生で成り立つことを祈る。日本はその点でも共通するところがある。2022/01/04

piro

32
中村哲先生のお話をノンフィクション作家の澤地さんが聞き手となり纏められた一冊。2010年の刊行当時は深刻な旱魃に見舞われるアフガニスタンで水路建設に尽力されていた頃。兎に角現地の人々の思いを第一に尊重し、問題の根源を解決すべく「百の診療所より一本の水路を」と事業を進められる姿に心打たれます。先生が訴えた軍事介入の愚かさ、現地民の環境改善の必要性には強く共感。まだまだアフガンには必要な方だったのに、2019年に凶弾に斃れた事が本当に残念でなりません。2023/11/18

meow3

15
民主主義であっても押し付ければもはやファシズムである。アフガニスタンではマドラッサというモスク+学校のような施設が人々の拠り所であり、日本の作った箱もの(学校)は向こうの気候に合わずあまり使われていない。そもそもタリバン政権は長老会に交渉し、治安の確保や自治を認めるというアフガニスタン的なやり方で国をまとめた。この本を読むとどうしてもアメリカのやり方が悪く思えてしまう。医師としてだけでなく、現地で体を張って人々が安心して暮らしていけるように水路やため池を作った人の言葉には説得力があります。2021/09/28

あんさん

14
現地に入り理解すること、表面的でなく人と人として接し、真に理解することが本当に大切なのだ。大国の人間が先入観にまみれて短期間で見るだけでは決して分からないのだ。中村哲氏は理解できた。そして自分がいないと進まない現実に動かされて働き続けられたのだろう。澤地さんという良き聞き手によって、中村哲氏の生い立ちから現地での様々な経験まで知ることができた。尊敬すべき方を失い、これから私たちには何ができるだろうか。「水を確保できれば、アフガンは再生できますね」「そうです」「確実にね」「絶対にしますね」2023/04/18

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