内容説明
【第171回直木賞受賞作!】大学を中退し、夜の街で客引きをしている優斗。仕事中に話しかけてきた大阪弁の女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った――「違う羽の鳥」 失業中で家に籠もりがちな恭一。小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣の一軒家に住む老人にもらったというそれを煙草代に使ってしまった恭一だが――「特別縁故者」 鮮烈なる“犯罪”小説全6話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1003
タイトルは「パンデミック」と「ツミ」の合成による造語だろう。6つの短篇から成るが、いずれもがコロナ禍の渦中の物語である。ただ、最後の「さざなみドライブ」だけは、ピークを過ぎた頃を描く。ホラーというわけではないが、これまたいずれの作品も、それぞれの登場人物の中に潜む魔的なるものの存在を前提に成立する。すなわち、コロナといった非日常が日頃は潜在化にあったものを炙り出し、日常に浮上させるのである。発表誌も「小説宝石」であり、通俗性は否めないが、それでも「祝福の歌」の終りあたりでは、ついつい涙腺が緩みそうになる。2025/04/04
青乃108号
906
直木賞発表翌日に予約が回ってきた図書館本。読まずばなるまい。即刻読んだ。読みやすいしまあ面白いと言えば面白い。しかし直木賞を取る程の作品とは感じられず。コロナのパンデミックを背景に書かれた短編集、としてしか特徴のない、ごくありふれた短編集だと思った。しかしながら「大衆性を押さえた作品」という直木賞の定義から言えば、パンデミックという現代の大衆誰もが経験した一大事を背景にしたこの作品はその点において他の作品より一歩有利だったと言えるだろう。その線を狙って三度目の正直で受賞を果たした著者はさぞ嬉しかろうな。2024/07/18
馨
885
一穂さん作品、やっぱり面白いです。コロナ禍を舞台に繰り広げられる犯罪短編集。『ロマンス☆』はドラマ化してほしい。『特別縁故者』が良い話だったので意外でした。緊急事態宣言とか、マスク不足とか、医療崩壊とか、ワクチン接種とか今読み返すと数年前の出来事で自分が経験したことなのによくやってたなぁと感じる。2024/05/13
starbro
867
一穂 ミチ、4作目です。著者の新境地でしょうか、「罪」+「パンデミック」のミステリ短編集、オススメは「特別縁故者」&「さざなみドライブ」となります。 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334101398 本書で、本年は読了、読み納めです。2023/12/31
さてさて
864
『マスクを求める人々が薬局の前に列をなし、転売が横行…今となっては「馬鹿馬鹿しい」のひと言に尽きるが、あの頃は誰もが切実だったのだ』。コロナ禍を背景に、それでも止まらない”犯罪”の数々を描き出したこの作品。そこには、まさしく「ツミデミック」な物語が描かれていました。コロナ禍の始まりから終わりまでを一冊に描いていくこの作品。そんな中にメジャーどころな”犯罪”が重なってもいくこの作品。“稀代のストーリーテラーによる心揺さぶる全6話”という紹介が伊達ではない、ぐいぐい読ませる物語が詰まった素晴らしい作品でした。2023/11/26
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