内容説明
紫式部が支えた国母の一代記! 七代の天皇を見守り、“望月の栄華”を成し遂げた藤原彰子の波瀾の生涯 わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入った彼女を、夫である一条天皇は優しく受け入れるが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。しかし、一人の幼子を抱きしめた日から、彰子の人生は動き始める。父や夫に照らされる“月”でしかなかった彰子が、やがて「国母」として自ら光を放ち出すまで――平安王朝をドラマチックに描く著者渾身の傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
177
冲方 丁は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。2年前に単行本で読んだと思いつつ、読む本が枯渇しつつある状況のため、本書を図書館の新刊コーナーで見つけて再読しました。文庫本版は上下分冊になっていて、上巻は一気読みです。続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。 https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-90356-92023/12/19
坂城 弥生
46
彰子の背負う物が大きすぎて…今巻の最後には紫式部も登場して下巻が楽しみ。2024/01/07
のびすけ
30
藤原道長の娘で一条天皇の中宮・彰子の物語。道長が「この世をば…」の句を詠う場面から物語は始まり、彰子がそれまでの自身の歩みを振り返る。淡々とした説明調の文章でしばらくは退屈だったけど、終盤で紫式部が登場してから俄然面白くなった。彰子の前でおどおどとする紫式部が可愛らしい。紫式部との出会いが、彰子と一条天皇の関係、さらには道長の権勢を大きく動かしていく。下巻へ。2024/01/30
本のロマンス
22
藤原の兼家・道長ら多くの貴族が、ポスト争いの権謀術策にうつつを抜かす中で、書籍の中に素晴らしいものや喜びを見いだす「紫式部」と、式部から修学することによる知的成長に輝きを得ていこうとする「藤原彰子」の姿勢に、とても共感しました。アリストテレスが最上の生活と位置づけた「観想的生活」、二人はその実践者と言えるのでないかと思いました。「本は宝の山、読書とは宝を探しながらその山を登ること」との思いを強くしました。彰子と式部の下巻での多幸を祈ります。 2024/02/11
ayafuya-papa
14
藤原兼家の孫で道長の娘で頼通の姉で一条天皇の后である彰子。一条天皇から七代の天皇を支えた国母の一代記。伝記なので登場人物が多すぎて、巻末の「藤原彰子関係図」を見ながらでした。読書というよりは藤原一族の栄華を史表で紐解いた書物をなぞるような感覚でしょうかね。2024/01/20