内容説明
紫式部が支えた国母の一代記! 七代の天皇を見守り、“望月の栄華”を成し遂げた藤原彰子の波瀾の生涯 わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入った彼女を、夫である一条天皇は優しく受け入れるが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。しかし、一人の幼子を抱きしめた日から、彰子の人生は動き始める。父や夫に照らされる“月”でしかなかった彰子が、やがて「国母」として自ら光を放ち出すまで――平安王朝をドラマチックに描く著者渾身の傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
194
冲方 丁は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。2年前に単行本で読んだと思いつつ、読む本が枯渇しつつある状況のため、本書を図書館の新刊コーナーで見つけて再読しました。文庫本版は上下分冊になっていて、上巻は一気読みです。続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。 https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-90356-92023/12/19
nyaoko
62
藤原道長の娘、彰子が一条天皇に入内し、皇子を産むまで。キャラクター、私の脳内は完全に光る君への俳優で喋ってました。違和感無し。道長に命じられるがまま、幼くして入内した彰子。嫉妬渦巻く宮中で、成長していく姿が頼もしい。そして、陰気臭い紫式部とのやり取りに笑ってしまった。これは絶対にオススメ♡2024/11/18
坂城 弥生
46
彰子の背負う物が大きすぎて…今巻の最後には紫式部も登場して下巻が楽しみ。2024/01/07
活字の旅遊人
41
NHK 大河ドラマ「光る君へ」を観なかったら、これも読まなかっただろうな、と思う小説。おかげさまで大変面白く読むことができた。中宮彰子が主人公なのだが、心情と歴史的な出来事の説明が多く、セリフが中心となる場面がかなり少ない。歴史小説ガチスタイルなのかな、と思う。怨霊や呪詛が普通の事柄として出てくる中で、詮子の告白がどれほどドロドロで恐ろしいか。それを聞かされる彰子。彰子自身は成長とともに本当に強く逞しくなっていく。紫式部との関係はお互いにプラスなんだろう。それも含め、「光る君へ」とくらべながら。2024/12/18
本のロマンス
41
藤原の兼家・道長ら多くの貴族が、ポスト争いの権謀術策にうつつを抜かす中で、書籍の中に素晴らしいものや喜びを見いだす「紫式部」と、式部から修学することによる知的成長に輝きを得ていこうとする「藤原彰子」の姿勢に、とても共感しました。アリストテレスが最上の生活と位置づけた「観想的生活」、二人はその実践者と言えるのでないかと思いました。「本は宝の山、読書とは宝を探しながらその山を登ること」との思いを強くしました。彰子と式部の下巻での多幸を祈ります。 2024/02/11