ちくまプリマー新書<br> ルールはそもそもなんのためにあるのか

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ちくまプリマー新書
ルールはそもそもなんのためにあるのか

  • 著者名:住吉雅美【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2023/11発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684660

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内容説明

フランスのアナーキスト、ピエール・ジョセフ・プルードンは言った、「法律は、金持ちにとっては蜘蛛の巣。政府にとっては漁網、人民にとってはいくら身をよじっても脱けられない罠」だと。まさに今の日本の状況そのものじゃないか! 【目次】第1章 ルールは何のために生まれたのか…さまざまな局面に則して多様なルールが作られた/第2章 ルールとして成り立つ必須条件…人は自分が損をしてでも公平さを求める/第3章 フェアプレーの精神…ルールに反してなければいいのか?/第4章 時代に応じて変わるべきルールもある…いつまで異性同士の結婚にこだわる?/第5章 復讐するは誰にあり?…世界が滅ぼうとも刑は執行されねばならない/第6章 なぜ人々は立ち止まらないのか…利己的な人々が自ずと社会秩序を作る/第7章 こんなルールは嫌だ!…中途半端なルールは混乱を生む/第8章 民主主義は公正じゃない…多数決は根拠のない偏見までも温存する

目次

はじめに/真面目な国民は「要請」を守る/権力者や金持ちは法律すら守らない/第1章 ルールは何のために生まれたのか/平常時のルール:世界や社会を円滑に回す/弱者を優先して救済するためのルール/資源に限界がある場合のルール/国家や社会の崩壊時には「自分が生き延びる」ルール/生き延びるために他人を蹴落としてもよいような状況/第2章 ルールが成り立つ必須条件/法律を学ばずとも、大抵の人々は平和に暮らす/ルールの拘束力は嫉妬心だ/ルールの原点/第1次的ルールと第2次的ルール/誰から見ても決して許せないことって何だ?/なぜ国民は政府や知事のいうことをきかなかったのか/人は自分が損をしてでも公平さを求める生き物だ/公平なルールをいったん受け入れたならとことん守ろうよ/公共性と普遍性が必要/いつでも、どこでも、誰にでも通用するルール/ただ、普遍性も貫きすぎると……/第3章 フェアプレーの精神──ルールに反していなければいいのか?/「俺を踏み台にしたぁ!?」/反則をしない限り、勝つためには何をしてもよいのか?/経験に基づく合理的なルール/フェアプレーの義務/スポーツ仲裁裁判所の裁定はいいのか?/逆に選手を追い込む最低の裁定/そもそもドーピングは悪だろうか?/第4章 時代に応じて変わるべきルールもある──たとえば結婚/いつまで異性同士の単婚制にこだわる?/同性婚やパートナーシップ制を認めればそれでいいのか?/なぜ複合婚がいけないの?/反婚の思想/異性間単婚制を肯定する意見を批判する/初音ミクと結婚した男性/家族を作るとはどういうことか?/第5章 復讐するは誰にあり?──報復のルール/死体を処刑!?/世界が滅ぼうとも、刑は執行されねばならない/刑罰の起源は復讐/「餓死したくないから罪を犯す」の連鎖/復讐を止める裁判/刑罰の条件/裁判制度があっても、復讐は消えない──キャンセル・カルチャー問題/復讐するは誰にあり?/とはいえ……/第6章 なぜ人々は立ち止まらないのか──法律でも変えられないルール/小便小僧、存続の危機?/慣習とルールを分ける3つのポイント/エスカレーターで人々が立ち止まらないわけ/原因1 ハートのいう「ルール」になってしまっている/利己的な人々が自ずと社会秩序を作る/原因2 赤の他人の事情より、自分が急ぐ都合が優先/原因3 ナッシュ均衡が成立してしまった/ルールが変わる条件/片側は譲るが、席は譲らない──「優先席」という悪しきルール/なぜ男性は座って用をたすようになってきたのか/ゲーム理論を参考にすれば定着したルールを変えられる/第7章 こんなルールは嫌だ!──ダメなルールの特徴/なぜマスクは「必須」から「個人の判断」に転じたのか/曖昧な「個人の判断」「お控えください」/中途半端なルールは混乱を生む/半端なルールが「警察」を出現させる/外国人の視線がそんなに気になる?/他人がマスクを着けようが着けまいが、もともとどうでもよかったのではないか?/「大切な人」を人質にとるルールのイヤらしさ/第8章 民主主義は公正じゃない/特定の層におもねる政治や立法はダメ/法や政策は無差別公平でなければならない/多数決は根拠のない偏見までも温存する/スーパーアイドルがお笑い芸人に人気投票で負ける理由/民主主義は諸刃の剣/おわりに/清濁併せ むのがルールである/毒も栄養も喰らうのが人間である/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

38
決められたことに疑問も持たず従うことが正しいと思う人が日本には多い。だがルールはどういう趣旨で存在するのか、その原理を問う法哲学入門。様々な局面に則して作られた多様のルール。人は意外と自分が損をしてでも公平さやを求めていて、一方で時代に応じて変わるべきルールもあり、そもそも法律そのものが復讐を止めるためのものだったという経緯や、利己的な人々が社会秩序を作っていった側面や、混乱をもたらす中途半端なルールや多数決の根拠のない偏見も取り上げていて、清濁併せ呑むルール作り…がベストでもなかなか難しいですね(苦笑)2024/01/17

venturingbeyond

30
こちらは、山陽〜東海道新幹線車中で読了。先程読み終えた『はじめてのフェミニズム』と比べると、レーベルの想定読者にきちんと届きそうな、規範理論の入門書。各人の自由・権利を適切に保障する社会秩序を構築・維持するための規範について、その条件、適切な導出法などなど、高校生レベルでも十分咀嚼可能な平易な叙述で、規範理論の主要テーマを伝える。時折差し挟まれる小ネタは、前著同様に住吉先生の漫画やゲームへの造詣の深さが垣間見られる。末尾のLGBT理解増進法への批判は、全くもってその通りのど正論。好著です。2023/11/23

kei-zu

23
著者の「あぶない法哲学」(講談社現代新書)は良書でした。本書も「あぶない」視点から読者の固定観念を揺るがします。エスカレーターの片側をなぜ人は空けるのか。エスカレーターでの歩行禁止を条例で定めた自治体では、当初は歩行が減ったが、やがてほぼ元どおりになったという。 人を縛るのが「制定された規律」でないとすれば、何なのか。自宅でのトイレでの小用を座って行う男性が多くなっていることと比較して解き明かしもする。 想定読者の高校生には、これぐらい「毒」がある本が楽しい。2023/12/02

ta_chanko

19
そもそもルール(法律・刑罰・決まり)は何のためにあるのか?それは世界や社会を円滑に回すため、復讐の連鎖を止めるため、弱者を救済するため...。しかしそもそもの理由が忘れられ、ルールが絶対視されたり破った者が袋叩きにあったりすることも多々。コロナ禍の日本においてはルールですらない「要請」が猛威を振るった。ルールには公平性と普遍性が不可欠。ルールを制定する側の権力者が守らなかったり、特定の人々が得(または損)をするようなルールは不適切。時代によって変えていくことも必要。最終的には、清濁併せ呑むのがルール。2024/01/17

takka@ゲーム×読書×映画×音楽

18
あとがきで書いてある「清濁併せ呑む」の言葉に尽きる。共同体のルールは個人的選好のみでは成り立たない。得するときもあれば損をするときもある。ただそれがLGBTQやコロナのマスク・ワクチンなどのように、同調圧力にしてはいけない。「自分の価値観だけが絶対」だと思わないこと。私が読書やゲーム・映画などあらゆるものに触れ、ジャンルも問わず触れるのは好奇心だけではなく、自分にはない価値観が知れることや、ジャンル内でも触れることができるものを探すためだ。「ホラー映画だから…」とジャンル自体を拒否するのではなく模索する。2025/06/08

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